最近になってスウェーデン菓子店「リッラ・カッテン」を知ってくださった方に、あらためてスウェーデンのお菓子をイチから紹介していきます。
前回の「#01 ラズベリーの洞窟」に続き、今回はひらがなの「め」のようにも見える、ちょっと変わったカタチが特徴のスウェーデン伝統クッキーである「クリングロル」の旅へご案内します。
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「Kringlor」の意味
このスウェーデンクッキーの名前『
スウェーデン語は単数形と複数形で語尾が変化しますが(もちろん例外あり)、単数形では『
スウェーデン語辞典(大学書林刊)によると、クリングロルは「めがね型の菓子パン」とありますが、当店のクリングロルはクッキーです。後述しますが、腕を組んだような形状をした焼菓子全般をクリングロルと呼ぶため、クリングロルは菓子パンだったりクッキーだったりするのです。
甘く味付けされた菓子パンとして提供されることもあれば、塩のようなしょっぱい味付けでオードブルのような立ち位置で提供されることもあります。
リッラ・カッテンの「クリングロル」はクッキー生地に砂糖を練りこみません
本国ではバリエーションに富んだクリングロルですが、ここでリッラ・カッテンのクリングロルの特徴を紹介します。
スウェーデンにおけるホームベイキングの教科書的存在と言えるレシピ集『
このクリングロルは、クッキー生地に砂糖を練りこみません。一方で、クッキー生地に生クリームを使うことで、クリーミーな仕上がりとなります。
お手本クリングロルのレシピにおいて、クッキーにまぶす砂糖は普通の砂糖が使われているのですが、それだと見た目のインパクトに欠けるので、リッラ・カッテンではスウェーデンでは一般的に使われるパールシュガーをまぶしています。これで十分に口のなかに甘味をもたらしてくれます。
そして有塩バターを使用するのもコツの1つです。生クリームでは味気なさすぎてしまうところを、有塩バターの塩気によって風味を広げてくれるのです。
提供し始めた当初はもうちょっとスリムだった気がするのですが、だんだんと丸っこいフォルムになってきたかな。このポテっとした「め」のフォルムもまた、リッラ・カッテンのクリングロルの特徴と言えるかもしれません。
イタリアの修道士に考案されたクリングロル
クリングロルは、かつて600年代にとあるイタリアの修道士によって考案されたという説があるようです。
修道士は弟子たちにご褒美として小さなパンを与えようと考えました。そしてそのパンの形状は、中世時代に人々が祈りを捧げる際に、胸の前で腕を組む様子を模したものにされたのです。
日本ではフランシスコ・ザビエルの肖像画が有名ですが、このようなポーズで祈っていたのでしょうか。たしかにクリングロルっぽい。実際にこの肖像画のシーンが祈りを捧げているシーンであったかどうかはわかりませんが。
この修道士によるパンのデザインのアイディアがヨーロッパ諸国のパン職人たちに伝わり、幸運や長寿、成功などのシンボルとされるようになりました。
スウェーデンでは今日までクリングロルとして親しまれていますが、たとえばドイツでもクリングロルのような形状のプレッツェルが残っているのは、この逸話がヨーロッパに広まった名残かもしれません。
参考:Varifrån har kringlan fått sin form? | varldenshistoria.se
「クリングロル」のレシピ
リッラ・カッテンで提供している「クリングロル」のレシピをご紹介します。
お店で作っているレシピほぼそのまま。日本ではパールシュガーが手に入りづらいかもしれませんが、スウェーデン菓子づくりに興味をお持ちの方はぜひチャレンジしてみてください。
- 出来上がり
- 約30個
- 材料
- 有塩バター 100g
- 薄力粉 180g
- 生クリーム 大さじ4
- バニラエッセンス 数滴
- パールシュガー 適量
- 製造工程
- バターを常温に戻し、生クリーム加えよく混ぜる
- バニラエッセンスを加える
- 薄力粉を加え、さっくり混ぜる
- クリングロルの形に整え、パールシュガーの中にひっくり返して入れる
- 170度に余熱したオーブンで15分ほど焼く
「クリングロル」はスウェーデンクッキー箱に入っています
「クリングロル」は、リッラ・カッテンのONLINE STOREにて販売している《スウェーデンクッキー箱》に入っています。
スウェーデンのコーヒー文化に伝わり続ける「
その文化に倣い、気軽に7種のスウェーデン由来のクッキーを楽しめるように詰め込んだ、コンパクトなクッキー箱です。
日本では珍しいスウェーデンのクッキーセット、ぜひご賞味ください。
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