スウェーデン菓子の旅 #01「Hallongrottor(ラズベリーの洞窟)」

最近になってスウェーデン菓子店「リッラ・カッテン」を知ってくださった方に、あらためてスウェーデンのお菓子をイチから紹介していきます。

今回は、数あるスウェーデンのクッキーのなかでも、赤いラズベリーのジャムと白いクッキー生地のコントラストがとりわけ目を惹く「ラズベリーの洞窟」の旅へご案内します。

「ラズベリーの洞窟」を含むスウェーデンクッキー箱のご注文
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「Hallongrottor」の意味

このスウェーデンクッキーの名前『Hallongrottorハッロングロットル』は、2つのスウェーデン語から成り立っています。

『hallon』は「ラズベリー」、『grottor』は「洞窟(複数形)」です。当店ではそのまま直訳のように「ラズベリーの洞窟」という表記を採用。

ちなみに、単数形で『hallongrotta』と書く場合もありますが、どちらかというとカタカナで読んだときの響きがいいかなということで、複数形の「ハッロングロットル」としました。

クッキー生地に窪みをつくり、そこにジャムを流して焼くクッキーなので、その窪みを洞窟に見立てているのでしょうね。

ラズベリーのジャムをほかに置き換えることもあります。その場合、単純に「ジャムクッキー」という意味になる『Syltkakorスィルトカーコル』と呼ぶ場合も多いです。

でも、せっかく面白い名前なので「洞窟」の名前は残したいところ。強いて言うなら、ブルーベリージャムであれば本来の『hallon』の部分を置き換えて、『Blåbärgrottorブローバールグロットル』のような名前で呼ぶことになります。


ホロホロと甘酸っぱい「ラズベリーの洞窟」


一口に「ラズベリーの洞窟」といっても、実際はバリエーションがあります(スウェーデン菓子にはバリエーションに富んだものが多いです)。

スウェーデンの菓子店では生地がしっとりした手のひらサイズのタイプもあるのですが、リッラ・カッテンの提供するのは一口サイズのクッキータイプ。以下、当店で提供している「ラズベリーの洞窟」について紹介します。

「ラズベリーの洞窟」の食感をオノマトペで表すと「しっとりホロホロ」。タマゴを使用しないこと、そして片栗粉を加えていることで、この食感が出ています。

片栗粉を加えることや、生地に使用する砂糖の量が少ないことから、焼き色が薄く白いクッキーになります。その分ジャムとの味と色のコントラストが際立つのです。

そして、スウェーデンでは一般的な「バニラシュガー」。バニラビーンズを粉糖に加えて香り付けした、このバニラシュガーを少し加えていることも特徴。クッキー生地からはしっかりとしたバニラの風味が感じられます。

スウェーデン語のレシピを基に、日本人の味覚に合うようにちょっとアレンジしていますが、こうして本場の「ラズベリーの洞窟」としてのエッセンスは崩さずにお届けすることを心掛けています。


スウェーデン人とラズベリーの距離感


日本ではフランス語の「フランボワーズ」という名前でもよく耳にするラズベリー。たしかにそれほど縁遠くはありませんが、スウェーデン人にとってのラズベリーの距離感の近さには及びません。

スーパーマーケットに足を運べば、ラズベリー味のお菓子はもちろん、乳製品にだってラズベリー風味が付けられたものが少なくないです。

スウェーデンにはラズベリーが自生しており、夏にはラズベリーを自分で摘んでそのまま食べることもできますが、自家製のジャムを作ることも一般的です。

個人的にも、一人で立ち入った森のなかでラズベリーがなっているのを見つけて食べたことがあります。種も硬めで、スーパーに売っているような厳選されたラズベリーの美味しさはもちろんありません。ちょっと渋いくらい。

でも、森のなかで自然になっているラズベリーです。味はともかく、その体験自体に価値が感じられてしまうマジックには日本人なら誰でもかかってしまうことでしょう。

スウェーデン菓子のシンボルであるプリンセスケーキもまたラズベリーのジャムを使っていますし、やはりスウェーデンにとってラズベリーは欠かせない存在と言えるでしょう。


「ラズベリーの洞窟」のレシピ


リッラ・カッテンで提供している「ラズベリーの洞窟」のレシピをご紹介します。

お店で作っているレシピほぼそのままなので、ぜひスウェーデン菓子づくりに興味をお持ちの方はチャレンジしてみてください。

Twitterでは「@LillaKattenShop」、Instagramでは「@lillakatten_shop」を付けて投稿していただければ、リツイートやら何やらさせていただきます(ヤバくない投稿に限る)。

出来上がり
  • 30個(9g/個)
材料
  • バター 100g
  • 粉糖 25g
  • バニラシュガー(あれば) 2g
  • 薄力粉 120g
  • 片栗粉 40g
  • ラズベリージャム 適量
製造工程
  1. バターを常温に戻し、粉糖を加えよく混ぜる
  2. バニラシュガーを加える
  3. 薄力粉と片栗粉を合わせてふるう
  4. さっくりと混ぜ、9gに丸めて小指でくぼみを作る
  5. ラズベリージャムをくぼみに流す
  6. 170度に余熱したオーブンで12~15分ほど焼く

「ラズベリーの洞窟」はスウェーデンクッキー箱に入っています


「ラズベリーの洞窟」は、リッラ・カッテンのONLINE STOREにて販売している《スウェーデンクッキー箱》に入っています。

スウェーデンのコーヒー文化に伝わり続ける「Sju sorters kakorフュー・ソッテシュ・カーコル(7種のお菓子)」という概念がありますが、それはゲストをコーヒーでおもてなしする場には7種のお菓子を用意するのがちょうどいい、とされるもの。

その文化に倣い、気軽に7種のスウェーデン由来のクッキーを楽しめるように詰め込んだ、コンパクトなクッキー箱です。

日本では珍しいスウェーデンのクッキーセット、ぜひご賞味ください。

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リッラ・カッテンの絵本、雑貨、あと雑用を担当。本を読むことよりも、大量に並んだ背表紙や古い本の雰囲気が好き。つまり、あんまり本は読みません。葛飾出身の日本人。インスタグラムは「@lillakattenpaper
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