18年02月22日(木)あめ。今日一日、お店であったあんなことやこんなことだったり、思ったことなどを綴ります。
今日のリッラ・カッテン
まずはこちらの写真をご覧いただきたい。あなたには何が見えているでしょうか。
スウェーデンに起源をもつ「ポスクムスト(Påskmust)」というドリンクが写っており、背景にはスウェーデン語の絵本が並べられている。スウェーデンに傾倒した光景ではあるものの、それいがいは何も変哲もない写真と言えるだろう。
しかし、この写真を見て、血相を変えて連絡をくださった方がいたのです。撮影者自身も何気なく撮った一枚だったはずが、いったいこの写真には何が写っていたのか。
おわかりいただけただろうか。
マル印で示した場所に写っているトーベ・ヤンソン原作の「Trollkarlens hatt(魔法使いの帽子)」というムーミンの本、日本語だと「たのしいムーミン一家」なのかな、コイツが今回の話しの発端です。
日報に掲載した画像のなかより、とある翻訳家さんがこの一冊を見つけ出し、この本について問い合わせをくださったのです。ホント「どんだけ細かいところまで見ているんですか(笑)」というハナシではありますが、それだけ細かいところまで見てくださっていてありがとうございますなハナシでもあります。
よくよくお話を聞いてみると、どうやらトーヴェ・ヤンソンが物語の微調整を施す以前のバージョンの原書を探されていたようなのです。そしてその探していた本が、あの何気ない写真に写っていたのではないかということ。
メールでやり取りをするなかで一部の挿絵の写真をお送りして確認いただいたところ、どうやらウチにあった本がそのバージョンに該当するものだったようで、早速「明日お店に行ってもいいですか」となり、今日のお店のオープン時間にあわせてお越しくださいました。
翻訳家さんは、かつてトーヴェ・ヤンソンに関する書籍も翻訳・出版されたことがありました。以前にこの翻訳者さんがお店にお越しくださった際には自分はいなかったので、はじめてお会いしたのですが、全然初対面的な印象もなありませんでした。スウェーデンが取り持つ連帯感のおかげといったところでしょうか。
ちなみに現在出版されている日本語版は山室静さんという方が翻訳されたバージョンなのですが、それは英語から翻訳されたものらしいです。やっぱりスウェーデン語から直接日本語へ翻訳された文章って、少ないのかもしれません。
ご持参いただいた本と自分が自宅から持ってきた本を見比べて、いろいろと納得した様子。売り物として買った本ではありませんでしたが、「長いこと探していた本なのであれば、ぜひどうぞどうぞ」ということでお譲りしました。お役に立ててよかったです。
ちょうど昨日あたり、「とくにお店でめぼしい出来事がなければ日報ナシの日があってもいいのかな?」とか考えていたところでの出来事だったので、やっぱり続けていると何が起こるかわからないというおもしろしさが再認識できました。いいタイミングだ。
翻訳家さんとのお話のなかには、ここには書けなかったり、こちらが尋ねることを自粛したこともありますが、「いつかこの任務のことが話せる日が来ればいいですね」とお帰りになりました。日本でスウェーデン語翻訳家であることのエピソード、もっといろいろと伺いたいことがたくさんあったので、もしまたゆっくりとお会いする機会があれば訊いてみたいものです。
今日もまかないシナモンロール
先に触れた翻訳家さんから、トーヴェ・ヤンソン自身の声で朗読されている音声がネット上に公開されているということを教えていただきました。
そのページを表示するためのヒントとなるキーワードをいくつか打ち込んだら…あったあった。いま、とりあえずその音声ファイルの1つを再生しながらこれを書いていますが、想像以上にマイルドな声なんですね。集中していないから、何を言っているのか、はたまた訛ったスウェーデン語であるかどうかの判断もついていない状態ですけれども、あとでもう少し集中して聴いてみよう。
さて、ここで少し考えました。はたして素直にURLを貼って紹介すべきか否か。「ムーミンが好きだからぜひトーヴェ・ヤンソンの声が聴きたい」という方もいると思うのですが、ここでそのページへのURLを紹介してしまうと、そこで満足してしまうと思うんです。
おそらく日本語で検索してもたどり着けなさそうなページなので、ここはスウェーデン語を勉強している方たちに優越感に浸っていただきたいと思うのです。せっかくスウェーデン語を勉強しているのだから、日本語ではたどり着けない宝物のようなページをご自身の知識を使って探し当てていただきたい。それでもしわからなければ、何のキーワードで検索したかを教えていただければ、さらにヒントを差し上げます。
そして「スウェーデン語なんてわからないからそんなのムリ」とお考えの方がいらっしゃれば、それをモチベーションにスウェーデン語学習への扉を開いてみてはいかがでしょうか。リッラ・カッテンに来なくても、書店でスウェーデン語の本を買ってみるでもいいでしょうし、何かしらのカタチで触れていただくだけでもどうぞ。
日本にはスウェーデン語学習のモチベーションの芽が生えていないんですよ。その芽がたった1つでも生えることを願い、心を鬼にしてトーヴェ・ヤンソンの音声が公開されているページへのURLは控えさせていただきます。まあ、偉そうに言っておきながら、冒頭に申し上げた通り、自分も今日お会いした翻訳家さんから教えていただいただけなんですけど。ここでは「そんなページがありますよ」という情報の提供までとさせてください。
自分がスウェーデン語のレッスンを受け持つとしたら、わが師同様にスパルタになる予感。
ビョルネン・ソベル