スウェーデン洋菓子店、深夜のねごと@20年02月15日(金)

京急逗子線神武寺駅前にあるスウェーデン洋菓子店リッラ・カッテンのお知らせや自分たちのことについて、基本的に営業日には毎日更新しています。

店内イベント

スウェーデン語教室

今後のガイダンス開催予定日(いずれも16時~17時)
  • 【2020年02月】22日(土)/27日(木)
  • 【2020年03月】07日(土)/12日(木)/28日(土)


今日は久しぶりに店の絵本棚を補充しました。何か月ぶりだろう(仕事しろ)。

10冊くらい追加したのかな。そのなかの1冊に、エルサ・ベスコフによる日本語へ未翻訳の童謡絵本が含まれていました。ただの絵本ではなく、物語のテキストすべてが歌詞となった曲も楽譜付きで掲載されている絵本です。

「Lillebrors segelfärd(リッレブローシュ・セーゲルフェード)」というタイトルで、日本語にすると「ぼうやの船旅」みたいな感じ。だけれども『ぼうや』って、ガルマ・ザビじゃないんだから、もうちょっと気の利いた言葉に翻訳できないものかな。

日本語の類似語を並べてみると「”ぼっちゃん”の船旅」、「”ぼうず”の船旅」、「”おとこのこ”の船旅」、「”ボーイ”の船旅」、「”よい子”の船旅」、などなど。地味に日本語にしづらい。候補は多岐にわたりますが、翻訳家ではないので今日はどれでもいいですが、とりあえず『ぼうや』で。

あらすじ。ぼうやがクマのぬいぐるみと一緒に、母親の下を離れて船で世界へ冒険に出かけることに。クマのぬいぐるみは、チャイルドプレイのチャッキーのようにしゃべるし動きます。そして、南の国を訪れたり、中国を訪れたりした後、再び母親の下へ戻ります。おしまい。

あらすじにすると短いですが、自分はこの絵本の荒唐無稽なストーリーが気に入っています。しかし、この本はもしかするとスウェーデンでは公共の場であまり紹介されることはないかもしれません。


一昔前のスウェーデンの絵本には、本当によく黒人が描写されていたものです。アストリッド・リンドグレーンの『長くつ下のピッピ』でも黒人が描写されていましたが、まだ人種差別という概念が薄かった時代背景によるものでしょう。

個人的にはかつてのスウェーデンには黒人を差別的に見る姿勢は薄かったのではないかと思っていますし、スウェーデンでジャズが盛んになったのは、迫害された黒人たちが差別の影響の少ないスウェーデンに移ってきたからではないかという説も耳にしました。

しかし、世界的に黒人を描くことがセンシティブになっていますし、話題に上げること自体がリスクになり得る時代ですから。黒人が多く描写されているこの作品の存在に積極的に触れようとする機関は少ないと思います。


さらに中国人の描写も、今では差別的と捉えられる可能性がありますかね。

ちょうど最近になって、スペインのサッカーリーグでプレーする日本人選手に対して、コーチが目尻を釣り上げるジェスチャーをしたのではないかということで物議を醸しているというニュースも出てきていますから(そんなこと言ったら駄菓子の「ヤッターめん!」のパッケージは危ないぞ)。

差別的に描かれた側がどう受け取るかは別ですが、少なくとも自分はかつてのスウェーデンの絵本で描かれていた世界の様子には差別的な意図を感じたことはありません。そして、その世界の描写を見た子供は「外にはこういう国があるのか」という興味のきっかけに繋がることはあったでしょうから。

ちなみにこの作品は1921年に発表された絵本。日本初のラジオ放送は1925年だそうで、まだラジオもない頃の子供にとって興味の幅を広げてくれる情報源の一つだったに違いありません。

ビョルネン・ソベル
リッラ・カッテンの絵本、雑貨、あと雑用を担当。本を読むことよりも、大量に並んだ背表紙や古い本の雰囲気が好き。つまり、あんまり本は読みません。葛飾出身の日本人。インスタグラムは「@lillakattenpaper
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