スウェーデン洋菓子店、深夜のねごと@19年12月21日(土)

京急逗子線神武寺駅前にあるスウェーデン洋菓子店リッラ・カッテンのお知らせや自分たちのことについて、基本的に営業日には毎日更新しています。

スウェーデン語教室

今後のガイダンス開催予定日(いずれも16時~17時)
  • 【2020年01月】18日(土)/23日(木)


年内、12月26日(木)まで毎日営業します

今日は本当に多くの方にご利用いただき、ありがとうございました。

昨日の時点では、店長と「12月21日って、クリスマスなの?もしかすると意外と誰も来ないんじゃないの?」なんてハナシもしていましたが杞憂でした。明日22日は日曜日ですが、本来ならばウチは営業していない曜日なんですよね。それこそ「もしかすると意外と誰も来ないんじゃないの?」なんて心配になっちゃう。

でもオープン以来、毎日のように「今日もお客さんは来てくれんだろうか」なんて心配になっている日が続きながらも、こうして営業を続けていられるわけですが、それくらいのキモチでいた方がいいと思っています。「もうウチの店は安泰だ」なんて思い始めたら足元をすくわれる気がします。

さて。スウェーデン語のレトロクリスマスカードを毎日1枚ずつSNSで紹介する企画も、12月24日で最後となります。特にオチらしいオチも考えずに、12月1日から毎日その日の気分や、いただいたリアクションの傾向によって、紹介するカードを考えていました。

本当はカードに描かれた風景を、スウェーデンの文化的背景と一緒に紹介した方が面白かったんでしょうけれども。このブログが文章を中心にしている一方で、カードのイラストだけをシンプルに紹介することでビジュアル中心の投稿をしてみようという実験的な目的もありました。

意識したのは、「コレは絶対に好きなヒト多いだろうなぁ」というイラストばかりになるのを控えること。そして、できるだけ多くの作家によるイラストを散りばめることでした。

そのなかで最も自分が注目していたのが扉絵のイラストが描かれたカード。作者は「Kaj Beckman(カイ・ベックマン)」というイラストレーター。たくさんの絵本も手掛けています。じつはこの活動名の響きの先入観から、最近まで男性だと思いこんでいましたが女性です。

つぎはぎされている服を着ていたり、脇に手を挟んで寒そうに歩いている様子を見ると、きっと貧乏な家庭なのだろうということが予想できます。さらに灰色の空、背景の枯れた木。

数多あるクリスマスカードのなかで、このイラストが群を抜いて暗いのです。このイラストにみなさんがどのように反応してくれるのか興味がありましたが、結果は想像通り。Instagramでのリアクションは、最もリアクションの多いイラストに対して半分以下となりました。

個人的には、こんなに観る側に解釈を委ねてくるクリスマスカードのイラストは類を見ないなという印象を受けていたりします。この家族がクリスマスをどのように過ごしたのか、気になって仕方がない。あたたかな気分にさせてくれる機能が求められがちなクリスマスカードに、なぜこのようなプロレタリア的描写を持ち込ませたのか。


ちなみに。このクリスマスカードは消印が不鮮明すぎて何年に製造されたクリスマスカードであるか特定が困難でしたが、貼られている切手は「モンテリウス生誕100年」という1943年に発行された特殊切手のようで、1943年ごろのものだろうと推測できます。

だとすれば、世界は第二次世界大戦のまっただなか。スウェーデンは直接的な参加をしなかったものの、やはり物資が乏しくなる厳しい時代であったことに変わりありません。世間が暗い雰囲気を引きずるなかでこそ、このようなモチーフが用いられたのでしょうかね。

想像が止まない、やはりお気に入りの一枚です。

リッラ・カッテンの絵本、雑貨、あと雑用を担当。本を読むことよりも、大量に並んだ背表紙や古い本の雰囲気が好き。つまり、あんまり本は読みません。葛飾出身の日本人。インスタグラムは「@lillakattenpaper
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