多くのスウェーデン語絵本を扱うリッラ・カッテンが、自分たちで実際に読んだスウェーデン語絵本を紹介します。目標はとりあえず100冊です。お店では扱わない作品、または絶版の作品もあるために入手が難しい絵本も含みますがご容赦ください。
1971年発表
Måns och Mari om sommarenモンスとマリーの夏
作:Kaj Beckman(カイ・ベックマン)
スウェーデンの四季を通して発表された、モンスとマリーの絵本シリーズ。手掛けた作品の一部が日本語訳されたこともあるスウェーデン絵本作家、Kaj Beckman(カイ・ベックマン)によるスウェーデンの夏の風景を描いた作品です。
スウェーデンの夏至祭の頃の様子を描いた絵本は意外と少ないものです。さらに広く言えば、夏をテーマにした絵本は少なく、冬がテーマの絵本の方が多いような気がします。
この絵本では母親のマッティとモンスとマリーの3人が、離島のサマーハウスで過ごす様子を描いています。とくに何かセンセーショナルな事件が起こるというわけでもなく、そこでの様子が淡々と語られていくという作風。
夏の代表的な植物の名前もイラストに添えられており、スウェーデンの子どもたちに対する教育的な機能も持ち合わせた絵本だと言えるでしょう。
カイ・ベックマンの描くヒトの顔からはなんだかレトロな印象を受けます。今回紹介した絵本は最近印刷されたものなので、彼のレトロなイラスト作品を楽しむには紙質が洗練されすぎているような気もするんです。きっと古い時期に印刷された絵本においてはまたイラストの印象が変わってくるでしょうから、ぜひとも古い版のものを手にとってみたいものです。
ビョルネン・ソベル