多くのスウェーデン語絵本を扱うリッラ・カッテンが、自分たちで実際に読んだスウェーデン語絵本を紹介します。目標はとりあえず100冊です。お店では扱わない作品、または絶版の作品もあるために入手が難しい絵本も含みますがご容赦ください。
1987年初版出版
Små, små visorちいさな、ちいさな童謡集
編:Päivi Hällström(ペイヴィ・ヘルストルム)
古くからスウェーデンで親しまれている童謡を、スウェーデン語はもちろん、フィンランド語の歌詞も一緒に紹介している童謡集です。スウェーデン文化の一端として抑えておくべき多くの伝統的なスウェーデン語の童謡が一冊にまとめられており、スウェーデン文化を知る上でも重宝する本ですが、特徴はそれだけではありません。
左側にスウェーデン語版、右側にフィンランド語版が紹介されています。付属のCDでもスウェーデン語とフィンランド語の両方で歌われた曲を聴くことが可能です。メロディーはまったく同じで、歌詞だけ翻訳されています(訳されたフィンランド語の内容は確認できませんんが)。
この本はフィンランドに起源を持ちながらスウェーデンに暮らしている子供に向けてつくられたとのことです。「音楽を通じて新しい文化にスムーズに溶け込めるように考えた」と編者はまえがきに記しています。
物理的に距離が近く、文化がクロスオーバーする面もあるスウェーデンとフィンランドですが、スウェーデン語とフィンランド語はまったく別の言語。しかしフィンランドではスウェーデン語が公用語として採用されているという、ちょっと複雑な関係を持つ両国。そんな二つの国をつなぐための童話集、珍しいかもしれません。
ビョルネン・ソベル