
多くのスウェーデン語絵本を扱うリッラ・カッテンが、自分たちで実際に読んだスウェーデン語絵本を紹介します。目標はとりあえず100冊です。お店では扱わない作品、または絶版の作品もあるために入手が難しい絵本も含みますがご容赦ください。
1950年発表
Summa summarumかぞえてみると
作:Lennart Hellsing(レナルト・ヘルシング)/絵:Poul Strøyer(ポール・ストロイエル)
作曲:Knut Brodin(クヌート・ブルディーン)
長らくスウェーデン絵本の発展に寄与してきたレナルト・ヘルシングの詩の世界に、ヘルシングの相棒とも言うべきポール・ストロイエルがイラストを添えた絵本です。2015年に亡くなる前の2014年まで作品を発表し続けていたヘルシングにとって初期の作品で、何度も版を変えて出版されてきました。

意訳も含みますが、1ページ分のスウェーデン語の文章を訳してみます。
かぞえてみると おひさま かがやくとき
うみのなかで 16ひきの いわしが はねている。
Summa summarum sex av dom nyser, nänge och ofta när månen lyser.
かぞえてみると つきが かがやくとき
そのうち いわしの 6ひきが ながく たくさん くしゃみしている。
この絵本の表題にもなっているスウェーデン語の「summa summarum」は「合計で」という意味ですが、日本語に訳した際の雰囲気を考慮して「かぞえてみると」としています。
絵本全体がひとつのストーリーになっているわけではなく、見開きごとに異なるシチュエーションのスウェーデン語詩とイラストが展開されていきます。
なによりも2色刷りのシンプルな色使いが力強く印象的。何度も版を変えて出版されてきた絵本ですが、ぜひとも発表された当時50年代の印刷技術と紙質で接していただきたいレトロな作品です。(今回の撮影に使用したのは1956年印刷のものです)

クレジットに作曲者の名前が記載されているのは、この絵本の巻末に五線譜がついているため。スウェーデン語の詩の世界、大胆でポップなイラスト、メロディーの3つが楽しめる絵本なのです。
ビョルネン・ソベル