多くのスウェーデン語絵本を扱うリッラ・カッテンが、自分たちで実際に読んだスウェーデン語絵本を紹介します。目標はとりあえず100冊です。お店では扱わない作品、または絶版の作品もあるために入手が難しい絵本も含みますがご容赦ください。
1976年発表
Var är Långa Farbrorns hatt?のっぽのおじさんの帽子はどこ?
作:Inger & Lasse Sandberg(インゲル&ラッセ・サンドベリ)
ある朝、アンナちゃんが目を覚ますと家の外でのっぽのおじさんが泣いていました。アンナちゃんが泣いているワケをたずねてみると、緑の帽子をなくしてしまったと言います。
あまりにものっぽなおじさんが涙をながすので、やがて辺りは水に覆われてしまいます。アンナちゃんはのっぽのおじさんの代わりに水の中を潜って帽子を探しに行くことにしました。
のっぽのおじさんが持つ魔法のアイテム、「魔法ののぞき穴」を覗き込むとのぞき穴は潜水服へと早変わり。アンナちゃんは水であふれた街を泳いで進んでいきます。
ファンタジックなストーリーもさることながら、この絵本の一番の見どころとして挙げたいのは美しい水の描写。単純な青で描かれた水の世界ではなく、作画担当のラッセ・サンドベリらしい自由な色使いで水の様子を描いています。
アンナちゃんの絵本は簡単に読めるシンプルなものから、しっかりとストーリーが綴られている絵本まで、幅広い年齢で親しめるシリーズですが、この作品はストーリーがしっかりしているタイプ。
子供はストーリーで、大人は絵で楽しめる絵本です。
ビョルネン・ソベル