英語の「The」は文法用語で「定冠詞」と言いますが、同じような表現がスウェーデン語にも存在します。
恒例ですが、必要に応じてもどってください。
- スウェーデン語入門講座(その1)@スウェーデン語を読んでみよう
- スウェーデン語入門講座(その2)@en名詞とett名詞
- スウェーデン語入門講座(その3)@en名詞につく形容詞
- スウェーデン語入門講座(その4)@ett名詞につく形容詞
そして今回は課題テキストの解読を進めますので、やはりここで課題テキストをもう一度見てみましょう。
リスを意味するスウェーデン語の単語「en ekorre(エン・エーコレ)」が、なんで「ekorren(エーコレン)」になっているのかというお話です。
今回の目標
英語で言うところの「the」は、文法用語で定冠詞と呼びます。この定冠詞のスウェーデン語バージョンが定形名詞というものです。その状態のことを名詞の定形とも呼びます。
この名詞の定形のカンタンな使い方と、基本的な作り方を知っていただこうと思います。
実際は絵本などを読む際、「en ほにゃらら」という名詞のカタチよりも、この定形名詞の方がよく出てきますので、とても重要なポイントでもあります。
ちなみに「en ほにゃらら」のカタチの名詞の状態のことを名詞の不定形と言い、辞書などで名詞を引く際にはこちらの不定形の状態で引いてあげる必要があります。
英語の「the」は何に使うか
そもそも「the」を何に使うのかわからない方もいらっしゃるかと思いますので、まずは馴染みの深いであろう英語の「the」を使って、英語で言う定冠詞の使いどころを説明します。
またいつものネコに手伝ってもらいましょう。たとえば、こんな会話が日本語であったとします。
“一匹のネコ”はちいさいです。
なんだかまどろっこしいですよね。なんだか2つの別々の文章が並んでいるようで、もしかすると猫が2匹いるのかも知れないと考えてしまいます。
そこで、日本語を話す自分たちもこんな風に表現しているんじゃないでしょうか。
“そのネコ”はちいさいです。
これで完全に一匹しかいないことが伝えられるようになりました。
これを英語で表現してあげるのに必要なのが、「the」の存在なんです。もう既に会話の中で一度登場したものに対して、「もう会話に登場しているやつのことだよ」というアピールをするためにくっつけてあげます。
ということで、英語にしてみます。(英語は得意じゃないですが)
The cat is small.
ほかにも定冠詞を使用するケースはたくさんありますが、とりあえずこれが基本です。日本語にするときにはアタマの中で「この」などをつけてあげるとわかりやすくなるケースが多いです。
スウェーデン語における「the」である定形名詞
前述したように、英語の「the」という定冠詞にあたるのが、スウェーデン語の定形名詞になります。
しかし、英語の「the」とは違って、スウェーデン語では名詞の後ろに「en/et」を付けることによってスウェーデン語版の定冠詞、つまりは定形名詞が作られます。
これまでに何度も紹介してきた「en katt」を定形にすると「katten」になります。
紹介していない「det(デット)」という単語も出てきますが、英語の「It」みたいなものです。ということで、とりあえずスウェーデン語にしてみます。
Katten är liten.
これが基本的な定形名詞の使い方&作り方です。
en/ett名詞を定形名詞にしてみる
いずれも応用しなくてはいけない単語もありますが、各単語から基本的な定形名詞をつくってみたいと思います。
では、過去に使用してきたen名詞を定形名詞にしてみます。en名詞の定形の場合は、名詞の語尾に「en」を付けてください。
en hund(エン・フンド) ⇒ hunden(フンデン)
en bok(エン・ブーク) ⇒ boken(ブーケン)
同じように、過去に使用してきたett名詞も定形名詞にしてみます。ett名詞の定形の場合は、基本的には名詞の語尾に「et」を付けます。
ett äpple(エット・エップレ) ⇒ äpplet(エップレット)
ett träd(エット・トレード) ⇒ trädet(トレーデット)
できたできた。
ちょっと気を付けたいのが、「ett äpple」のような最後に「e」で終わっている単語。「äppleet」は間違いです。こちらは最後に「t」だけ付けることで、最終的に名詞の語尾が「et」で終わるようにしなくてはなりません。
例として挙げた単語にはありませんでしたが、もちろんen名詞も「hamburgare:ハンバーガー(ハンブリアレ)」のように「e」で終わる名詞の場合には、最後に「n」だけ付けて「hamburgaren」となります。
まとめ
ここで課題テキストを見直してみましょう。
一番最初の単語の「ekorren」は「en ekorre」の定形名詞なんですね。テキストの上のリスのイラストを指して「このリス」と表現しているわけです。
形容詞である「pigg:元気がいい」と「söt:かわいい」は、「och(オック)」という単語でつながれていますが、この「och」は英語の「and」にあたる単語ですので、わかりやすいんじゃないかと思います。
これで1行目の課題テキストを構成する文法的要素が揃いましたので、次回からは2行目を解読していきたいと思います。