その存在は知られているけれども実態はあまり知られていないプリンセスケーキ。そのプリンセスケーキについて詳しく書かれているページを読んでみました。
スウェーデンの洋菓子文化を紹介する上で欠かせない存在であるプリンセスケーキ。
しかし、その見た目の派手さばかりが取り上げられてしまい、実態はあまり知られていなかったりする場合も見かけます。そこで、プリンセスケーキについてスウェーデン語で詳しく書かれているページを読んでみました。
引用ページ:Mitt Kök: 8 saker du inte visste om prinsesstårta
先に断っておきますと、「Prinsesstårta(プリンセストータ)」と「prinsessbakelse(プリンセスバーケルセ)」という単語が引用先の文章で登場しますが、今回はどちらも「プリンセスケーキ」として統一して翻訳しています。(「Prinsesstårtan」と「prinsessbakelsen」の違いはコチラのページで触れています)
また、当方翻訳家ではないため、もしかすると翻訳上の間違いも含まれているかもしれません。もし間違いがあれば指摘をいただくことがあれば、修正の上でSNSで改めて告知しますので。
「プリンセスケーキ」はスウェーデンだけ
カマボコ型の場合、厳密には”プリンセスバーケルセ”と呼ばれます
プリンセスケーキはとてもスウェーデンらしいものであり、スウェーデンにしかない。
(; ・`д・´) ナ、ナンダッテー !! (`・д´・ (`・д´・ ;)
プリンセスケーキはスウェーデンの文化なんですね。もちろん、北欧各国でも近隣国であるスウェーデンのプリンセスケーキを提供しているお店はあるハズですが。
「北欧」というカテゴリーで一緒にされてしまいがちな北欧各国。しかし、ちゃんと国ごとに個性があるところはあるのです。各国の言語が似ていたり(フィンランド語を除く)、一部の文化が重なり合っているところももちろんありますけどね。
スウェーデンで最も売れている洋菓子は「プリンセスケーキ」
丸型の”プリンセスケーキ”の断面
今日において、スウェーデン国内でもっとも売れている洋菓子はプリンセスケーキである。
“bakverk”は直訳すると「焼き菓子」の意味になると思いますが、ケーキも含むのかな。とりあえずここでは洋菓子としておきました。
個人的にはカフェなどに入るとシナモンロールばかり食べていたので実はスウェーデンで食べたことありませんでしたが、そんなに売れていたんですね。それならそうと早く言ってよ。
そういうことなら、今度行ったらぜひプリンセスケーキを食べ比べてみたいです。
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2012年、ヴィクトリア女王の娘であるエステル女王が産まれた際にはスウェーデン国内のプリンセスケーキがすべて売り切れた。
ホントに?それはすごい。
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スウェーデンの洋菓子店で販売されている洋菓子の70%はプリンセスケーキ。
(((;´Д`)))ブルブル
さすがに数字が凄すぎて、店長と二人で「この数字、ホントかね?翻訳間違ってないよね」といった感じになりました。「洋菓子店の70%でプリンセスケーキを扱っている」なら分かる気がするけど、どうなんでしょう。
ちょっと怪しいので、今度スウェーデン人に会うたびにインタビューしてみようかな…もしこれが本当なら、もうちょっとスウェーデン洋菓子における野党は頑張るべきでしょう。
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スウェーデンでは、毎年およそ50万食のプリンセスケーキが販売されている。
この数字がスゴイのかどうかは正直わかりませんが、具体的な数字が紹介されていたので興味深い。参考までに。
「プリンセスケーキ」の名前の由来
ホールケーキの場合、ケーキのアタマにバラの飾りを置きます
このことに触れている箇所がありますが、長いので説明をいくつかに分けて翻訳します。
1900年代にJenny Åkerström(イェニー・オーケルストレム)は家事学校(?)を運営し、その学校にはカール王子とデンマーク出身のインゲボリ女王の娘達である「アストリッド」「マルガレータ」「メルタ」が通っていました。
ヒトの名前だからJennyのフリガナが合っているかどうかは微妙ですが、本題とは直接関係ないですし、まあいいでしょう。
「husmoderskola」は直訳すると「主婦学校」になるのですが、よくわかりません。でも家事を学ぶ場所なんじゃないかと思います。
ということで、3人の王女たちが家事を学ぶための学校かなんかに通っていたようです。
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1930年代にイェニーさんが料理本を出版する際に、その料理本を「Prinsessornas kokbok(王女たちの料理本)」と名乗ることについて伺いを立てました。そのレシピの一つが、緑のケーキであり、王女たちのお気に入りであるということが言われました。
つまり、家事学校のJenny Åkerström(イェニー・オーケルストレム)さんが料理本を出版するときのレシピの一つだったのですね。
とりあえずこのレシピのケーキが王女たちのお気に入りケーキということになったみたいです。
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料理本の版が重ねられるうちに、名前は現在で言うところの「プリンセスケーキ」となったのです。
「版が重ねられるうちに」ということは、料理本の発表当初は名前が「プリンセスケーキ」ではなかったということですよね。
当時この色のケーキを発表した勇気と、そのケーキを受け入れた当時の国民の寛容さに感服です。現在においてもですが、この緑色の食べ物に対する反応において、日本とスウェーデンの文化の違いを感じます。
「プリンセスケーキ」のプロモーション週間
コーヒーと一緒に食べるのがオススメ
スウェーデンにおいて、プリンセスケーキにはプロモーション週間が設けられているようです。
こちらも少し長めの説明になるので、分けて翻訳をしてみたいと思います。
2004年以降、9月の最終週には「プリンセスケーキ・ウィーク」としてプロモーションが行われます。
こんなプロモーション期間があるなんて知りませんでした。
既にスウェーデン国内の洋菓子消費のうちの70%を占めているのだから、もうプロモーションをしなくても十分だと思うのですが…読み進めてみると、ただ「プリンセスケーキを売りたいから」というわけでもないようです。
プロモーション期間内において、プリンセスケーキが売れれば10クローナ、プリンセスバーケルセが売れれば2.5クローナがKronprinsessan Victorias fond(ヴィクトリア女王基金)に寄付されます。
ここでは少し「プリンセスケーキ」と「プリンセスバーケルセ」の違いを認識する必要がありそうです。プロモーション期間中に販売されたケーキの数に応じてヴィクトリア女王基金に寄付がされるんですね。
ヴィクトリア女王基金は障害を持つ子どもたちに運動などの活動を行うための支援をするための基金のようです。
「プリンセスケーキ」はリッラ・カッテンでも提供しています
ホールのプリンセスケーキがお店に並ぶことは稀です
日本でもスウェーデン洋菓子の象徴として認知されるようになってきたプリンセスケーキですが、本国スウェーデンでの存在感や名前の由来などについて知る機会も少ないのではないでしょうか。
もしかするとその様相から気後れしてしまって食べることを躊躇されている方だったり、一度スウェーデンなどで口にしたものの「甘すぎる」などの感想を持って敬遠してしまっている方もいらっしゃるかもしれません。
リッラ・カッテンでもスウェーデン語のレシピを基にしたプリンセスケーキを提供していますが、ちゃんと日本人の味覚に合うようにマジパンの量やクリームの甘さなどを調整したりしています。
スウェーデン人にも「スウェーデンのプリンセスケーキよりもおいしい」と言ってもらえたり、どこかで既にプリンセスケーキを食べたことがあるお客さんから「本当はおいしいんですね」と言ってもらえたり、そんな嬉しい言葉もお客さんからもいただけるリッラ・カッテン自慢のプリンセスケーキをぜひ一度試してみてください。
また、当店のプリンセスケーキは、提供していない日があったり、提供していても数量が限られているために売り切れてしまう日もあります。もし遠方からプリンセスケーキを目指して来ていただける場合には、念のため電話やメールなどで事前にご連絡をいただければ確実です。(メールは1営業日以上前にお送りください)
ちなみに1週間以上前にご相談いただければ、誕生日などのお祝いケーキとしてホール状態でお渡しすることも可能ですよ。
ん、宣伝慣れしてないですね。
mvh ビョルネン・ソベル