ビョルネンは時間泥棒@18年12月05日(水)

スウェーデン洋菓子店のブログのようなものですが、スウェーデンがまったく関係ない話題ばかり。

「御魚ギャラリー」展示内容

店内イベント

今後のガイダンス開催予定日(いずれも16時~17時)
  • 【12月】08日(土)/13日(木)

店外イベント

今日のマクラ

やはりランチはチキンオバジン一択で

先日、リラ・ダーラナに行きました。初めてマディッケンも連れていったのですが、ほとんどグズることもなく、なんとか長時間の電車移動も持ちこたえてくれてよかった。

やはりランチタイムはチキンオバジン一択。もう10年近くリラ・ダーラナに出入りしているけれど、スタッフさんの賄いの場に同席させてもらう機会を除いたら、チキンオバジン以外にオーダーしたことはほとんどないですね。

チキンオバジン永年無料権を保持している者の義務として、チキンオバジンを戴いたら欠かさずこの場で紹介していますからね、遠藤さん。

ごちそうさまでした。

今日の時間泥棒

原題は「11ぴきのねこ ふくろのなか」

何通かスウェーデンからの荷物に対する不在通知が届いていたので今朝、郵便局に寄って荷物を取ってきました。

その荷物のなかには、ずっと欲しくて探していた本が何冊か。そのうちの1冊が「Elva katter i en säckエルヴァ・カッテル・イー・エン・セック」、日本の馬場のぼる氏による『11ぴきのねこ』シリーズの「11ぴきのねこ ふくろのなか」です。

ちょうどこの作品だけ日本語でも持っていなかったけれど、少しいびつなカタチながらこれでシリーズ全巻揃ったぞ、ニャゴニャゴニャゴ。スウェーデン語で読んでいても、勝手にアタマのなかでは”11ぴきのねこらしい口調”で展開されてしまうぞ、ニャゴニャゴニャゴ。

超マニアックなハナシですがクレジットには「Tryckt i Japan 1986」と書かれていました。つまり「1986年に日本で印刷された」ということですが、日本でスウェーデン語の絵本が印刷されたんですね。日本で印刷されてスウェーデンに渡り、スウェーデンで読み継がれてまた日本に送られてきた、と。この本にインタビューできるなら、いまどんな気持ちか訊いてみたい。

日本語の絵本がスウェーデン語に翻訳されているもので認識しているのは、これで3作品目。きっと自分が知らないだけでまだあるんでしょうけれども。

しかし日本語が繊細な言語なこともあって、やはり細やかな表現をスウェーデン語で表現することは難しい様子も窺えます。11ぴきのネコのリーダーにあたる「とらねこたいしょう」はスウェーデン語版だと「Tigerkattティーゲルカット」となっており、直訳すると「とらねこ」という表現に収まっているわけです。

ほかの10ぴきのねこたちとデザインの違いにより、その存在感を読者に感じ取ってもらうことはできますが、それはあくまでビジュアルによる示唆に留まっているわけで。

日本人にとっては「とらねこたいしょう」の「たいしょう(大将)」という肩書だけで、この一団の奔放さがニュアンスとして伝わってくるだけに、この言語的ギャップは如何ともしがたいところ。もしくはそこは翻訳者の腕の見せ所であり、言語的にきちんと日本語の「たいしょう」という響きが持つ歴史的背景やニュアンスまできちんと理解した上で翻訳に臨むかどうか否かで原作の世界観がガラっと変わってしまいかねない。

自分だったら(スウェーデン語的なニュアンスを理解していないことは重々承知の上ですが)スウェーデン語版の名前をつけるとしたら「Kapten Tigerキャプテン・ティーゲル(タイガーキャプテン)」という名前にするかな。「Tigerkatt」の「katt」の部分は、読者に対してタイトルからも既に彼らがネコであることは既知の情報なのだから削ぎ落してしまっていいものだし。その代わりにリーダーとしてわかる「Kapten」のような肩書をしっかり残してあげる方がキャラクターが立つんじゃないかな、と。

翻訳業を本業にしていらっしゃる方からすれば「何をド素人が!」と怒られてしまうかもしれませんが、そうやって「翻訳ごっこ」をするのもたまにはいいんじゃないかと。こんな感じで部分的に分析するのはラクですが、自分もいくつかアソビのレベルで翻訳をしてきたなかで翻訳業が難しいことは理解しているつもりです。

小学校の生徒たちのための教科書

こんな本も。

Folksed och folktroフォルクセード・オ・フォルクトロー(民間の風習と信仰)」という、小学校の子供たちの教科書。季節柄、特にクリスマスシーズンの風習について調べたいことがあったので取り寄せました。

もちろんクリスマスだけでなく、イースター、夏至祭、秋の行事に至るまで、一年間を網羅しているところも素晴らしい。今後、激しくお世話になりそうな予感。

大人向けにアカデミックな切り口で文化を紹介されても難しくて読めないので、こういう小学生向けの教科書くらいのスウェーデン語で書いてもらった方がわかりやすい。知っておくべきことが凝縮されているであろう点から考えても、子供向けの教科書はいい資料でしょうね。

ただしこの本は1969年の出版物なので、風習が時代に合わせて変化している可能性があることは認識しておく必要があります。とはいえ風習の起源や、当時を知ることができるという点でやはり貴重な資料です。


そういえば、本の話題に触れたついでに。12月18日からスタートさせる展示会に並べる絵本のセレクトをしました。もうちょっと余裕を持って準備するハズが。

文化的背景をしっかり捉えたテーマの絵本からのセレクトはもちろん、「とりあえず背景に雪が降っている=これは冬の絵本ということで」という強引なセレクトまで。ただし、ただ強引に決めたわけではなくて、スウェーデン絵本の層の厚さを知ってもらうという意味を含めてセレクトしました。基本的に1作家につき1作品。

ゆるい作品からシリアスな作品まで、どれも自分が気に入っている作家の作品から選びました。エルサ・ベスコフ展では貴重すぎる絵本の展示はできなかったのですが、今回はすべて手に取っていただいてOKの絵本で構成します。ちょろちょろと解説文も書かないと。

リッラ・カッテンの絵本、雑貨、あと雑用を担当。本を読むことよりも、大量に並んだ背表紙や古い本の雰囲気が好き。つまり、あんまり本は読みません。葛飾出身の日本人。インスタグラムは「@lillakattenpaper
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