スウェーデン洋菓子店のブログのようなものですが、スウェーデンがまったく関係ない話題ばかり。
「御魚ギャラリー」展示内容
- 19年06月11日(火)~19年08月02日(金)
『インゲル&ラッセ・サンドベリ夫婦作家の絵本展』
店外イベント
2019年6月15日(土)/16日(日)
北海道札幌市 札幌競馬場「第1回 札幌蚤の市」
手紙社さんによる告知ページ2019年06月29日(土)
朝日カルチャーセンター横浜教室「講座:スウェーデンの夏至祭」
朝日カルチャーセンターさんによる告知ページ
スウェーデン語教室
ネイティブによる「スウェーデン語講座」不定期開催 11時30分~13時
※ 開催日についてはお問い合わせくださいリッラ・カッテン店長による「スウェーデン語講座」
入門者向け「スウェーデン語講座(ガイダンス)」のご案内
- 今後のガイダンス開催予定日(いずれも16時~17時)
- 【06月】01日(土)/06日(木)/20日(木)/22日(土)/27日(木)
- 【07月】06日(土)/11日(木)/20日(木)/25日(土)
今日の時間泥棒
冒頭で「6月6日」と書いて思い出しましたが、今日はスウェーデンでは建国記念日ですね。国旗の日でもあります。だからと言って、今日はあんまり話題も広げられなくて申し訳ないですが。
そういえば。来週の今頃、自分は大洗から出航する予定のフェリーに乗るためのクルマのなかでしょうか。”明日”でも”汽車”でもないけど、チューリップの「心の旅」のようだ。
では何の話題かというと、戴いた本のこと。ムーミンの新訳版が出版されたのですが、その1冊「たのしいムーミン一家」の”翻訳編集”を担当された方より頂戴したのです。”翻訳編集”とはなかなか耳慣れない肩書のような気もしますが、きっとオトナの事情ですよね。
ちなみに。「たのしいムーミン一家」のスウェーデン語の原題を直訳すると「TROLLKARLENS HATT(奇術師の帽子)」ですね。原題は全然”たのしそう”じゃないじゃん。でも、実際に描かれているストーリーに即したタイトルですね。
これまで多くのスウェーデン児童文学、ひいてはスウェーデン文学作品が日本語へ翻訳され、出版されてきたと思いますが、実のところ英語からの翻訳も多いらしいんですよね。文化的な背景や歴史的な考察をしないまま英語から翻訳されてしまうから、『?』な表現が出てくるケースがあるのです。
スウェーデン語から英語に翻訳されて、その英語をさらに日本語に翻訳するなど、言語をまたいで翻訳することを「
たとえばですな。とある絵本に「
リッラ・カッテンでも販売しているのでピンと来た方もいるかもしれませんが、「ペッパカーコル=ジンジャークッキー」ですね。ややこしいことに「
ハナシを元に戻すと、ジンジャークッキーはスウェーデンの文化に深く根付いているアイテムのひとつだと思うのですが、こういったところから重訳された形跡が見られることがあります。
もちろん、スウェーデンの作品を日本に紹介していただくという意味では有意義であり、重訳であろうと先人たちの切り拓いてくれた作品が日本に紹介されたおかげでアストリッド・リンドグレーンやトーヴェ・ヤンソンの作品が日本で知名度を得たということは事実です。しかし、やはり不自然な訳になっている部分は、文化的背景を踏まえた上で自然で正しい訳に直していくことが健全でもあります。
従来の1965年に発行された「たのしいムーミン一家」は、山室静さん(明治39年生まれ)によってスウェーデン語以外の言語より重訳されたものだったらしいのですが、今回のこのムーミン作品の実質的な新訳シリーズでは、スウェーデン語の原文から翻訳を見直したと伺いました。
翻訳編集をされた方が今回の翻訳をするにあたり、検証のために写真にある古いバージョンの原書に描かれた挿絵1枚を検証するためにお店のある神武寺まで来てくれたこともありました(しかも購入してくださった)。新版に掲載されている挿絵は、後にトーヴェ・ヤンソンが描き直したらしく、マイナーチェンジされているんですけどね。
いま、アストリッド・リンドグレーン作品も新訳版に改められていっているっぽいですし、スウェーデン発の作品の新訳が盛り上がっている様子。かつて一度読んだことのある作品も、新訳版を読むと昔と違う印象を受けたり、新しい発見があるかもしれません。
自分の興味は、強いて言うなら、広い意味で”スウェーデン絵本の出版史”ということになるんでしょうかね。いろいろな時代のスウェーデンの絵本を集めて、それらを比較して楽しんでいるという。何度かこの場に書いていますが、もっと収集が進んで、もうちょっと歳を重ねたら一気読みするつもりなので、本棚にあるけれどもまだ読んでいない本がたくさんあります。
新訳版、ありがとうございました。またお会いした際に改めて御礼を。