時間泥棒

ビョルネンは時間泥棒@19年06月25日(火)

スウェーデン洋菓子店のブログのようなものですが、スウェーデンがまったく関係ない話題ばかり。

「御魚ギャラリー」展示内容

  • 19年06月11日(火)~19年08月02日(金)
    『インゲル&ラッセ・サンドベリ夫婦作家の絵本展』

店内イベント

店外イベント

スウェーデン語教室

今後のガイダンス開催予定日(いずれも16時~17時)
  • 【06月】27日(木)
  • 【07月】06日(土)/11日(木)/20日(木)/25日(土)

今日の時間泥棒

「オッス!オラ、ピッピ」とでも言わんばかりの男前なピッピのイラスト。ちなみに、ウチにいるマディッケン(4歳児へ進化済み)によるものではないです。

とある本の表紙にあしらわれているピッピなのですが、その本が出版されたのは2007年。出版されてからまだ10年と少しですか。それだけを聞くと比較的新しく出版された本であるハズなのに、実は逆にものすごく手に入りづらいのです。

2000年代に入ってから出版された本が中古市場になかなか出回らない。もちろん本によりますが、むしろ1950年代とかの古い年代の出版物の方が手に入れやすいという逆転現象。近年になって、デジタルメディアの発達により書籍というメディアが衰退し始めたことによって絶対数が少なくなったのが理由であると推測しています。

さて。これが表紙の全貌、「Ur-Pippiユール・ピッピ」という本の表紙でした。

スウェーデン語の「urユール」は、「前の」とか「祖先の」とかいうニュアンスを持っていますが、つまり『長くつ下のピッピ』という作品が世に発表される前の草稿段階のテキストを書籍化したものです。そしてこのピッピの絵はアストリッド・リンドグレーン本人によるものとのことがクレジットされています。

八王子の東京富士美術館で開催されていた『長くつ下のピッピの世界展』にて、この本のオリジナルが展示されていましたが、それを見て「そういえば、この本の複製版が出版されていたな」と思い出して、ネットで検索してみるとどこにも見つからない状態になっていたのです。

ノルウェー語版とか、スウェーデン語からの翻訳版は見つかるけれども、出版されて世に発表されたピッピの文章と、オリジナルのピッピの文章と、ニュアンスを比較したいので翻訳版では意味がない。

スウェーデン語児童文学&絵本の出版史における貴重な資料になり得る一冊なので、ぜひ手に入れておきたいところ。しかしスウェーデン語のあらゆる本屋のサイトを探しても、もう絶版になっている&自分が把握している範囲の中古市場にも見つからず箸にも棒にも掛からぬと来た。

そこで英語圏のサイトでこの本を扱っているネットショップなんてあったりしないかなと思い、ダメ元で英語で検索を掛けてみるとロシアの販売者のサイトにスウェーデン語版の本書が販売されているページがヒット。ホームページの見た目的に「運営してんの?」と思わせるような不安な風体だけれども、これまでも虎の穴に足を踏み入れることで手に入れてきた絵本なんかもあるわけで。

意を決して、拙い英語で(スウェーデン語も拙いけれども)注文をできるものか尋ねるべく、英語メールを送ると、しばらくして「取り寄せだけど、かしこまり」との返事が送られてきたので、「どうにか手に入る」と安堵。

しかし。しばらくして、再びロシアからメールが。「ゴメン、デンマーク語の本だった」と。ダンカンバカヤロウ。

メールには「今度こそスウェーデン語の本を探すから」とか、「この本は絶版になっていて手に入れるのは難しいぞ」とか、「ウチならなんとかできるぞ」とか、いろいろな釈明が書かれていたけれども、危うくデンマーク語版を買わされそうになったショップにはもう怖くてお願いできないので「結構です」とお断りしました。

結果的にこうして手元にあるわけで、結局スウェーデン在住でいつもテキスタイルの仕入れを手伝ってくれているオジサン経由で手に入れることができたんですけどね。ほんのちょっとだけプレミア価格が乗っかっていましたが。

ところで、ピッピの本当の生みの親は、娘のカーリンであったということをご存じでしょうか。この本の裏表紙にも書かれていますが、カーリンが病気で伏せているときに出まかせに発せられた「”長くつ下のピッピ”のハナシをして!」が、その名前のインスピレーションだけからアストリッド・リンドグレーンが物語を膨らませていったことがピッピ誕生の原点になったというのです。

なんだかんだ興味深いエピソードが詰まった本ですね。まあ、自分が60歳になるくらいまでに読めればいいかな。

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