その存在を知らない人間からすれば、十中八九「シュークリーム」と答えるであろう、スウェーデンの春の訪れを告げるお菓子「セムラ(Semla)」。セムラについて何も知らないヒトに向けて、「セムラとは何ぞや」という疑問に対する基本的な知識をお届けします。
外側はパン、中身は生クリームとアーモンドペースト
スウェーデンのセムラを主に構成するのは、パンと生クリーム、そしてアーモンドペースト。焼いたパンの上部を切り離し、切り口からくぼみをつくるようにパンをくり抜きます。くぼみを作るためにくり抜いたパンはアーモンドペーストに混ぜ込み、元のくぼみの部分に詰め込む。その上に生クリームを重ねて、切り離しておいたパンの上部を乗せてフタのようにするのです。
スウェーデンにおけるセムラに使用するパンはカルダモンを含むことが一般的。パンのフタは提供する店によって、楕円形や三角形であることも。セムラの仕上げとしてフタに粉砂糖を振りかけることもあれば、特にヨーテボリ地方などでは砕いたアーモンドやパールシュガーを散らすスタイルもあったり、バリエーションに富んでいます。
スウェーデンにおけるセムラのシーズン
スウェーデンの街中にセムラが登場するのは、一般的にクリスマス翌日からイースターに掛けて。つまり、冬の辛くて寒い時期から、いよいよ春になるという時期までがセムラのシーズンというわけです。
カトリックにおいてイースター前には断食の習慣があり、断食前に滋養を摂るために高カロリーな甘いものを食したとされています。その日にあたるのが「
これらの宗教的な名残により、セムラは別名「
スウェーデン人にとってのセムラ
スウェーデン南東部の
たとえば『
たとえば以下の「Test av semlor i Stockholm (2018) – Experternas betyg」というページでは、2018年にストックホルムの19店舗で提供されていたセムラを、『テイスト』、『アーモンドペースト』、『生クリーム』、『パン』、『見た目』の5つの切り口から評価しています。
今ではクラシカルなセムラの容姿のみならず、ラップされた状態で提供されるセムラや、スウェーデン洋菓子の象徴的存在であるプリンセスケーキと融合したセムラなど、変わり種セムラを提供するお店もあるようです。スウェーデンのセブンイレブンやスーパーなどでもセムラは提供されているので、もしセムラシーズンにスウェーデンを訪れる機会があれば食べ比べてみるのもいいですね。