北欧文化@スウェーデンのルシア祭

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「ルシア祭」をご存知でしょうか。各国にも「ルシア祭」にあたるイベントはあるようですが、スウェーデンのルシア祭はスウェーデン独自の風習が色濃く映されたイベントのひとつで、毎年12月13日に行われます。

様々な文化が交錯してこの風習が形成されたため深く考察すればいくらでも深くできそうな行事ではあるのですが、ここでは本当に簡単にスウェーデンにおけるルシア祭について紹介してみたいと思います。

暗闇に光をもたらす存在「ルシア」

Cecilia Larsson Lantz/Imagebank.sweden.se

キリスト教の聖人「ルシア」は、イタリアの出生。ラテン語の”LUX”という言葉から派生した名前で、イタリア語では「ルチア」となります。光量の単位として”ルクス(LUX)”が使われるように、名前からも”光”を象徴する存在であることが伺えます。

日本でも「サンタ・ルチア」というナポリ民謡でもその名が有名なルシア。スウェーデンのルシア祭ではルシアに扮した少女が先頭に立ってこの歌を唄いながら教会や学校をはじめとした施設を練り歩く「ルシア行列」が登場します。

ルシア行列において、先頭を歩く”ルシア役”は頭にロウソクを立てた冠をかぶり、それに続く”ルシアのお付き役”の参加者は手にロウソクを持ちながら歩きます。光の象徴「ルシア」によって、暗くて長いスウェーデンの夜の生活に光がもたらされるのです。

ルシア行列の構成

Emelie Asplund/imagebank.sweden.se

ルシア行列の参加者は白い衣装と赤い帯に身を包みます。そして主な構成は以下のようになっています。

  • ルシア(行列の先頭)
  • ルシアのお付き(行列の中盤)
  • 星の少年(行列の最後)
  • その他(サンタやジンジャークッキーマンなど)

従来のルシア役は金髪の白人女性であることが望ましいとされていましたが、近年ではその概念は取り払われてきたようです。

「星の少年」は男子にも参加できる役目を与えようという比較的あたらしい文化の中で登場してきた役割です。ロウソクを持つこともありますが、基本的には星型にかたどった厚紙に金紙を貼ったようなオブジェを手にしています。(参考@Wikipedia – Stjärngosse #Nyare tradition

「その他」のサンタやジンジャークッキーマンなどは、小さな子供でも参加できるように配慮した更にあたらしいオマケ役でしょうか。

黄金色に輝く「ルッセカット(Lussekatt)」

Cecilia Larsson Lantz/Imagebank.sweden.se

ルシア祭の時期になると街に登場する菓子パン「ルッセカット(Lussekatt)」。日本では”ルシアパン”として紹介されることもある、”逆S字型”と埋め込まれた2つの”干しブドウ”が特徴のサフランパンです。ルシアもこのルッセカットを配ったりします。

サフランによる黄金色が、ルシアと同様に光を象徴する存在としてスウェーデンの暗い冬の夜を明るくしてくれます。

名前の由来ですが諸説あるので、「ルシアの名前を冠した猫っぽいカタチのサフランパンなんだな」くらいの認識でいいんじゃないかと思いますが、ここでは名前の由来の一説を以下からの引用を簡単に翻訳してみたいと思います。

Varför heter det lussekatt?
”Lusse” i lussekatt är en alternativ benämning på ”lucia” och ”katt” kommer av att bakverken tidigare kallades djävulskatter eftersom de i Tyskland serverades av djävulen och katten har sedan lång tid tillbaka förknippades med just djävulen.

Varför heter det lussekatt? @ Högtider och traditioner

日本語にするとこうなります。(翻訳素人ながら2人でチェックしましたが、もしも見当違いの翻訳になっている部分がありましたら、こっそりお知らせください。)

なんで『ルッセカット』という名前なの?
『ルッセ』の部分は「ルシア」の名前に由来するものです。そして『カット』の部分は、昔ドイツでこのパンが悪魔によってもたらされていた「悪魔の猫」と呼ばれていたことに由来します。猫は古来において悪魔と結びつけて考えられていたのです。

…という説明がされているのですが、あんまり腑に落ちないですよね。(悪魔がパンをくれる?ある意味、天使?みたいな。)

『ルッセ』の部分が悪魔「ルシファー」から由来するものだと説明される場合もあったり、実のところ正確な由来はわかっていないのだと思います。

ルシア祭からクリスマスにかけての食文化

Emelie Asplund/imagebank.sweden.se

左の「Lussekatt(ルッセカット)」、真ん中のスパイス入りホットワイン「Glögg(グルッグ)」、そして右のジンジャークッキー「Pepparkakor(ペッパカーコル)」。この3つがスウェーデンのルシア祭シーズンからクリスマスにかけてスウェーデンに欠かせない食べ物です。

「Glögg(グルッグ)」はクローブやカルダモン、それにシナモンなどで味つけしたホットワインです。調味料の混ぜ方や、何を添えるかなど、いろいろなバリエーションがあるので家庭ごとの特徴が色濃く出る飲み物かもしれません。

また、クリスマス時期に登場するペッパカーコルは、ハート/ブタ/星/ヤギ/クリスマスツリーなどの形に抜いて焼かれたりします。ちなみにスウェーデンにおけるブタは豊穣を象徴するもの、ヤギは北欧の「Julbock(クリスマスのヤギ)」というクリスマス飾りに由来するものです。

リッラ・カッテンでもスウェーデンのルシア&クリスマスが味わえます

以上、スウェーデンのルシア祭について簡単に紹介してみました。実際のルシア祭を見学することはなかなか難しいかもしれませんが、動画サイトなど「Luciatåg(ルシア行列)」で調べてみるとその様子と雰囲気がさらに分かるかと思います。

リッラ・カッテンのお店でもスウェーデンのこの時期を象徴するLussekatt(ルッセカット)、Glögg(グルッグ)、Pepparkakor(ペッパカーコル)などの味を体験していただけるようにする予定ですので、もし実際にここで紹介したルッセカットなどの味が気になった方はぜひ足をお運びくださいませ。

mvh ビョルネン・ソベル

リッラ・カッテンの絵本、雑貨、あと雑用を担当。本を読むことよりも、大量に並んだ背表紙や古い本の雰囲気が好き。つまり、あんまり本は読みません。葛飾出身の日本人。インスタグラムは「@lillakattenpaper

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