開店準備ブログ(ビョルネン編)@どこにお店を開こうか

スウェーデン語の絵本屋であるLilla Bokhandelnはネットショップ。突然ですが、実店舗をひらくことにしました。

『親譲の無鉄砲で小供の時から損ばかりしている。』

かの文豪による、とある人間の人生を書き綴った作品における冒頭部分からの引用ですが、「親譲」という点を除いてはまさに自分に当てはまる一文です。正確に言えば無鉄砲というよりは、あーだこーだ考えるのが面倒なのでとりあえずやってしまえと思ってしまうケースが多い、ただの「面倒くさがり」なのですが。

前例がないことでもとりあえずやってみようということで始めたのがLilla Bokhandeln(リッラ・ブークハンデル)というスウェーデン語絵本屋ですが、案の定バカ売れするわけでも全く売れないというわけでもなく。デザインからホームページの管理まで、できる範囲のことはすべてを自分たちで賄うことで経費が掛からないから続けられているだけなんですけどね。

ご多分に漏れず、今回の実店舗計画も従来の無鉄砲さが引き起こした悪さの一つなのかもしれませんが、できるだけ楽しんでもらえるような空間にしたいですからね。やるからには今までにない雰囲気のお店にしたいな、と考えているのです。

どこにお店を開こうか

繁盛している店ではないので、開店準備にあまりお金は掛けられません。

予算はザックリ300万円くらいで開店まで漕ぎ着けられれば嬉しいなーという感じです。下調べもままならないままにとりあえずどこに店を開こうか検討し始めます。(後々、期待通りにこの予算で悩むことになります ← これを書いている時点ではイマココ)

当店のFacebookをチェックしてくださっている方の間ではなぜか有名なのですが(ありがたいことに)、2015年秋に自宅は大田区から金沢八景という場所に引っ越しました。京急線で品川から50分足らずのところにある駅です。

東京のメジャーな土地にお店を開くのもお金が掛かるし、そんなお金はありません。ほとんど注目されていない土地でお店を開くのもウチらしいかな、ということで自宅近辺の駅周辺で物件を探すことにします。

ネットである程度の下調べをして、3件ほどの物件を見せてもらいました。

まずは六浦駅から徒歩1分の物件をチェック

六浦駅 駅舎(© Kouchiumi)

まずは金沢八景から逗子方面へ1駅の六浦駅から徒歩1分の1軒屋の物件。六浦駅は京急逗子線という支線にある駅で、1日あたりの利用者数が8,000人ほどの駅です。

小さいながらも1軒屋ということに加えて、屋根裏部屋も使えるようであれば使っていいということでした。こちらの家賃は6万円。

駅の西口の階段を降りてすぐのところに物件は建っています。駅の東口周辺はある程度にぎやかであるものの、この物件がある西口はちょっと寂しい印象。ちょっと歩けば中規模のスーパーなどはありますけどね。

実際に物件を見せてもらうと、ネットで情報を見て分かっていたことですが、やはり狭いかなーと。そして、面している道路が狭かったりクルマの音が気になるということで、ちょっと保留。

次に能見台駅から徒歩4分の物件をチェック

能見台駅 駅舎(© Kouchiumi)

次に金沢八景から品川方面へ2駅の能見台駅から徒歩4分ほどの2階の物件。1日あたりの利用者数が15,000人ほどの駅です。

六浦駅に比べると2倍の利用者数ということもあり、駅から数分のところに大型スーパーやマンション群が建っています。そして飲食店が多く軒を連ねる道が駅から坂道を登るようにしばらく続いていきます。こちらの物件は駅から数分ということと2階店舗なので家賃は8万6千円ほど。

その坂道沿いの物件の2階で、広さも十分な物件。階段や廊下は古くから入居してそうな整体院と共用となりますが、大きなデメリットにはならないかなという印象。

無難に行くならこの物件がいいんじゃないでしょうか。

最後に神武寺駅徒歩20秒の物件をチェック

神武寺駅 駅舎

最後に金沢八景から逗子方面へ2駅の神武寺駅から徒歩20秒の物件。1日あたりの利用者数は3,300人ほどの駅です。読めないかもしれませんが「じんむじ」と読みます。

個人的には大田区在住時に通っていた、おなじみの木工教室がある駅なので大体の雰囲気は知っています。駅前には美容院、クリーニング店、歯科医院、デイケアサービス、整体院はありますけれどもね。食料品が買えるようなお店やゆっくりできるお店が皆無なのです。ほんと、何もない。

何もない駅ではありますが、駅から徒歩20秒で1階の店舗物件ということで家賃は8万円。

後から色々な方にハナシを聞いてわかったのですが、かつては4軒ほど存在していたコンビニや商店もすべて無くなってしまったようで、駅から徒歩で行ける範囲に食料品が買えそうなお店は全く見当たりません。

実際に物件を見せてもらうと、中はガランとしたスケルトン。居抜き物件だったらラクに開業できるのですが、ここに決めるとしたら内装工事も含めてイチからのスタートです。

後日お会いしたこの物件のオーナーさんも「ヒトがたくさん訪れるような駅じゃないけど大丈夫かね?恨まれても困るよ?」というような駅ですし、半年以上も空きになっていた物件です。

しかし、実はこの土地が最初から本命でした。まさにこの何も特徴も知名度もない神武寺という土地こそ、Lilla Bokhandelnにピッタリだと思っていたのです。隠れ家風ではなく、本当に隠れ家。

何かのついでに立ち寄るという駅では決してありませんし、東京からそれほど近いわけではありません。でも、わざわざ東京から1時間ほど掛けて来てもらうような店になれたらいいじゃないですか。不便を売りにすることって、かなり勇気がいることなのかもしれませんが。無鉄砲バンザイ。

スウェーデンの田舎駅に行くと本当にほぼ駅舎以外ないんですよ。駅舎すらなくてプラットフォームしか置かれていない駅だってありますし。でもそんなスウェーデンの田舎には、駅に寄り添って移民が経営しているピザ屋がやっていたりするんですよね。そんなお店になれればいいなー。

というわけで、場所はここです。

まだ工事も何も始まっていないので、悪しからず。

mvh ビョルネン・ソベル

リッラ・カッテンの絵本、雑貨、あと雑用を担当。本を読むことよりも、大量に並んだ背表紙や古い本の雰囲気が好き。つまり、あんまり本は読みません。葛飾出身の日本人。インスタグラムは「@lillakattenpaper

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