Timbambimhuset

av Eva Billow (Nordisk Rotogravyr)

ライオンの子供、黒人の子供、白人の子供、
3人が集まったら何して遊ぼう。

きっとどこか遠くの、おそらくアフリカのどこかが舞台でしょうか。主人公はライオンの子供、ティム。いつも前足には編んでもらった靴下をはいていますが、それはツメを咬んでしまわないように。

ある日、遠くから黒い点がやって来るのを見つけると、ママライオンに「2本の足をした小さな黒い点が遠くからやってきているよ」と報告します。ママライオンは「ちいさくて、黒くて、2本足で歩いているなら、それはきっと黒人の子供だね。食べちゃえば」とティムに言いました。

ママライオンにそう言われたティムは小さな黒い点に向かって走りました。黒い点は黒人の子供のビムです。ビムはティムの姿を見ると、喜んで「やあ、こんにちは」と挨拶をしました。ライオンのティムは「こちらこそ、こんにちは」と返します。ティムは黒人の子供を食べるよりも、バナナやデザートローズを食べる方が好きなのでした。

二人が「普段やっちゃいけないことをやる遊び」をしていると、今度は遠くから小さな白い点が近づいてきます。それは白人で医師の子供の女の子、バム。やがて三人は、いっしょに遊びながら家を建てます。バムは、完成したその家を「ティムバムビムのおうち」と呼ぶことを提案しました。

タイトルの「Timbambimhuset(ティムバムビムのおうち)」は、実際に読み進めてみないと何のことかピンとこないのですが、物語にこの名前が登場すると一気に「でたー!」と、まるで真打が登場したかのような"待ってました感"が。葉っぱと枝でつくった秘密基地のようなおうちなのですが、自分たちでつくりあげた屋根のある空間ほどワクワクするものはありませんね。

絵本のストーリーに直接関係はありませんが、絵本の判型、印刷、レイアウト、クレジット表記、などなど。こだわり抜かれたブックデザインに絵本作家としてのエーヴァ・ビロウのこだわりを感じる一冊です。

(文: ビョルネン・ソベル)

発行年1955年
印刷年 1955年
作者 Eva Billow (エーヴァ・ビロウ)
出版社Nordisk Rotogravyr
サイズW: 210mm x H: 130mm
ページ32ページ

Eva Billow (1902 - 1993)

エーヴァ・ビロウは絵本クリエイター、作家、グラフィックデザイナーなどの分野で幅広く活躍し、美術の教師としての一面も持ち合わせていました。漫画シリーズ「カイサとスヌッラン(kajsa och Snurran)」は掲載紙をまたぎ、スウェーデン・ジャーナル紙や子供雑誌クルンペ・ドゥンペなどで長らく連載されました。ビロウの絵本は細かい部分まで緻密にデザインされ、あまりデザインが施されることのない裏表紙や見返し、印刷会社のクレジット表記に至るまで絵本の世界観を統一することにこだわりを持っていました。

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