アヤックスというなまえの星 En stjärna vid namn Ajax
av / Stina Wirsén (Bonnier Carlsen)
ずっと一緒に暮らしていた愛犬との別れを
現実と幻想を交えて描いた絵本です。
多くの児童文学作品を手掛け、日本語にもたくさんの作品が翻訳されているウルフ・スタルクによるストーリーに、スティーナ・ヴィルセーンがイラストを手掛けた絵本です。
主人公は、アヤックスという名前の犬と、アヤックスが7歳のころに生まれたヨーアン。彼らはいつも一緒に時間を過ごして、遊んで、ソーセージを半分ずつに分けて食べたり、なぞなぞを解いたり、馬を見に行ったり、仲良く暮らしていました。
ヨーアンが歳を重ねれば、当然それと同じだけアヤックスも歳を重ねます。アヤックスは次第に一緒に遊ぶ元気もなくなっていき、寝てばかりに。ヨーアンが7歳のとき、年老いたアヤックスはやがて死んでしまいました。納得のできないヨーアンは、馬に乗ってアヤックスを連れ戻しに行くのです。
ペットを飼うと、人間が歳を取るスピードと歩調が異なるために、基本的には先にペットが死んでしまうというのが現実です。その事実を自分のなかに受け入れてどのように納得するのかは人それぞれでしょう。もしかすると受け入れられないままになってしまうかもしれないし。
この絵本の結末までをここで明かすことはしませんが、読んだヒトによってもしかすると納得できないこともあるかもしれません。死をそのまま受け入れるべきという方もいるでしょうし、どうにかしてその死を取り消すことができればと望む方もいるでしょう。
読者によって読後感が異なることによって、「自分はこう思う」、「私はこう思う」という議論の広がりが生まれる絵本だと思います。
(文: ビョルネン・ソベル)
発行年 | 2007年 |
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印刷年 | 2008年 |
作者 | Ulf Stark (ウルフ・スタルク) |
挿絵・写真 | Stina Wirsén (スティーナ・ヴィルセーン) |
出版社 | Bonnier Carlsen |
サイズ | W: 160mm x H: 220mm |
ページ | 43ページ |
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