あなぐら@入荷する本を選ぶときのハナシ

スウェーデン絵本専門店だから体験できたことや思うことをつらつらと書き綴るヒミツのあなぐら。入荷する本を選ぶときのハナシです。

こちらのページでも第9回東京蚤の市のプチレポートで当日の様子をチョロっと書いてみましたが、イベントでのやるべきことは現地で本や雑貨を売るだけではありません。

普段はネットショップのみで運営しているので、リアルな出店をする際には前準備として普段やらないようなことをいろいろと用意しなくてはいけないのです。お釣りを準備したり、紙袋を用意したり、細かいところで言えば値札を付けるのもそうだったり。

今回、ありがたいことにたくさんの方にスウェーデン語の絵本を手にとっていただきました。そうすると当然、お店の在庫となる絵本は少なくなってしまいます。そこで必要になってくるのが新たな絵本の入荷です。

何を基準に仕入れる絵本を選んでいるのかをちょっと紹介してみたいと思います。

選考基準 その1:知名度の高い絵本

当たり前ですが、知名度は絵本を選ぶ基準になります。

まず、スウェーデン語の絵本ですので、日本国内でその言語を読める方は少ないですが、スウェーデン語絵本の中でも知名度の高い絵本は欠かせません。

一番わかりやすいのがムーミンシリーズ。ムーミンはスウェーデンにまったく興味がなくても誰でも知っている人気キャラクターですので、手に取ってもらいやすいです。

ただし、Lilla Bokhandelnでは、作品の知名度ではなく作家の知名度で絵本を選んでいます。日本でまったく知られていない作品でも、作家の知名度が高ければとりあえずOK。

たとえば日本語訳された絵本が出版されているアストリッド・リンドグレーン(Astrid Lindgren)であれば、ピッピやロッタちゃんが作品としては多くの方が知っているので、それらはもちろん仕入れます。

しかし、たとえば「ぴちぴちカイサ(Kajsa Kavat)」や「わたしたちの島で(Vi på Saltkråkan)」のような、日本でも映画が公開されたけれども知名度が今ひとつな作品の原作もLilla Bokhandelnでは扱っています。

需要がないような本こそ、買ってもらえたときに嬉しいんですよね。ときどき「日本でこの本が買えると思っていませんでした!」といったような声もいただけるので、そういうときにはこの本屋をやっていてよかったと思えます。

選考基準 その2:スウェーデンで人気の絵本

日本では知名度が低くてもスウェーデンで有名な絵本作品はたくさんあります。

スウェーデンが好きな方であれば知っている「ペットソン&フィンダス(Pettson & Findus)」は日本語版も出版されているのですが、もうちょっと日本で人気が出てもいいのになーと思います。

バムセ(Bamse)」とか「アルフォンス(Alfons Åberg)」とか、スウェーデンでは古くから親しまれているキャラクターです。

アルフォンスシリーズもときどき買っていただける方がいらっしゃるので好きな方は好きなのかな。かつて日本語にも翻訳されたこともあり、30もの言語に翻訳されているロングセラーです。

日本では需要が高くはありませんが、古くからスウェーデンで親しまれている絵本はスウェーデン文化という意味では重要な存在なので、売れる見込みが低くてもLilla Bokhandelnでは扱うようにしています。

自分たちがそんなに注目していなかった絵本を買っていただくこともあったり、人の好みはマチマチだなーと感じる場面も多々あります。

選考基準 その3:重厚感のあるレトロな絵本

いい具合に歳をとった絵本は部屋においておくだけで雰囲気をガラリと変えてくれるものです。

印刷がずれて色がはみ出してしまっている「版ズレ」がみられる絵本や、印刷技術の制約があったのか見開きの片面のみが印刷されている絵本、活版印刷で刷られた歌集などもあります。

古い時代に印刷された本は現在の本と印刷方法も紙質も装丁も違っていて、手で触れているだけでも楽しめます。背表紙が布張りになっている本とか。

きっと当時は本は貴重だったんだろうな、とか色々と思いを巡らせながらページをめくったりします。それだけで満足してしまって、ちゃんと本の内容は読まなかったり…

ただ希少性が高いため高価になってしまいまうものも多いため、チャンスがあれば仕入れるようにしています。

選考基準 その4:インテリアのようなポップな絵本

スウェーデンのネットで本を探してみて、表紙を見て「これだ!」と思える絵本であれば、日本でもスウェーデンでも知名度が低くても1冊仕入れてみることもあります。

過去の「あなぐら」で書いたことがありますが、スウェーデンの古本は今後ますます手に入れづらくなってしまうと考えているので、新しく出版された新作絵本も積極的に取り入れていかなくちゃいけないと思っています。

新作絵本を選ぶ基準は、子どもたちが投票する人気絵本投票サイト「Bokjuryn」での毎年のランキングを参考にしたり。まったく知らなかった新作絵本に出会えることもあります。

面白いことに日本の絵本がスウェーデン語訳されていることもありますしね。そういった本を何冊か購入してみるのもアリかな、とか考えています。

もちろん、そもそもの値段が高くなってしまうと買っていただくことが難しいので、値段と需要のバランスがよさそうな絵本に限定されてしまいますけどね。

選考基準は「自分たちが欲しい!」と思える絵本

上記が主に絵本を仕入れる際の選考基準なのですが、要は「自分たちがいいな」と思った絵本を仕入れているのですね。仮にずっと売れ残ってしまっていても、自分たちが手元に持っていて納得できる本であればいいかなー、と。

ただ、先に述べたように自分たちが予想していなかった思いがけない本が売れることもあるので、安ければ思い切って購入してみることがあります。仮に売れないとしても、そういう本にはそれなりの役割があると思うので決して無駄になることはありません。

絵がほとんどない児童文学が売れることもあるし、小説が売れることもあるし、高価なレトロ絵本が売れることもある。「なんでこの本を買ったのかな?」なんて、余計な想像をしながら楽しんでいます。

ということで、どんな絵本を仕入れるか、いままさにいろいろと検討しているところなのです。

mvh ビョルネン・ソベル

リッラ・カッテンの絵本、雑貨、あと雑用を担当。本を読むことよりも、大量に並んだ背表紙や古い本の雰囲気が好き。つまり、あんまり本は読みません。葛飾出身の日本人。インスタグラムは「@lillakattenpaper

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