ビョルネンは時間泥棒@19年02月12日(火)

スウェーデン洋菓子店のブログのようなものですが、スウェーデンがまったく関係ない話題ばかり。

「御魚ギャラリー」展示内容

  • 19年02月05日(火)~19年03月30日(土)
    『日本語に翻訳されたスウェーデン絵本展』

店内イベント

  • NEW 19年03月01日(金)12時~
    《再》スウェーデン洋菓子教室「セムラをつくろう!」

    洋菓子教室の詳細ページ

  • 《満席》19年02月13日(水)12時~13時
    お話会「日本に住んでみて感じたこと、気が付いたこと(仮)」

店外イベント

スウェーデン語教室

今後のガイダンス開催予定日(いずれも16時~17時)
  • 【02月】09日(土)/14日(木)/23日(土)/28日(木)
  • 【03月】09日(土)/14日(木)/28日(木)/30日(土)

今日の時間泥棒

フィンランド映画「アントレプレナー」を観賞

昨年に続き、今年も「トーキョーノーザンライツフェスティバル」に行ってきました。巷でいま映画と言えばフレディー・マーキュリーだけれども(もう波は引いたかな)、立場上ノーザンライツの方が優先順位が高い。

今年のターゲットとして選択したのは「アントレプレナー」というフィンランド映画。スケジュールの都合もありましたが、「せっかくだから、まったく未知の作品にしよう」という意図もあって選びました。

なぜスウェーデン映画でなかったかというと、最近のスウェーデン映画と言えば移民やプロレタリアを扱った作品という傾向が強かったので、そこから一回離れたかったという理由もありました。

さて、フィンランド映画「アントレプレナー」の感想はというと…見事に自分の期待を裏切らない北欧映画っぷりを堪能させてくれました。

予め断っておくと、スウェーデン映画しかほぼ見たことないので、”北欧映画”という括りは間違っている可能性もあります。デンマーク、ノルウェー、アイスランドの映画は観たことない。でも、自分が抱いている「スウェーデン映画らしさ」と、今日見たフィンランド映画の共通項が見いだせたので、ちょっとだけ”北欧映画”をわかった気にさせてくれました。点が線になった感じ。

自分なりの感想を書きますが、もし読むのであれば必ず最後まで読んでいただきたい。自分は壁を越えた。

お世辞抜きに言うと、テーマが難解。そもそもテーマなんてあるのか。この映画を撮った監督にはあるのかもしれないけれども、映画初心者の自分にはテーマが見つかりませんでした。どうやってこの映画を楽しむのが正解なのか、映画好きの方の意見がぜひ聞きたい。

悪人を悪人らしく描いて、そいつをやっつける。日常を過していたヒトが、突然事件に巻き込まれる。オーキド博士に電気ネズミを与えられて、一緒にポケモンマスターを目指す。そういう分かりやすいストーリー展開は皆無です。オチらしいオチもない。自分はそういうスウェーデン映画をいくつも観てきたから、もうオチがなくても驚かなくなってきましたが、初めてこういう映画観たヒトは度肝を抜かれると思いますよ。

何ていうタイトルのスウェーデン映画だったか忘れたけど、いつだったかスウェーデンで買ってきたDVDを2人で観た時に、盛り上がる場面もないし、オチもないしという状況にしばらく「え、おしまい?おしまい?」みたいな。「いやいやまたまた。スタッフロールが終わったあとに今までの伏線を回収…しないんかーい」みたいな。

もちろんストーリー展開が分かりやすい北欧映画もたくさんあると思いますけれども、でも自分はこういう北欧映画が少し楽しめるようになってきました。そう、北欧映画の壁を越えた。

ヒット映画にありがちな、観客にわかりやすく媚を売った分かりやすいストーリーではなく、観客それぞれが自由に映像の合間を埋めていくことができる余白感こそ北欧っぽいのかな、と。観るヒトそれぞれが各々のストーリーを作り出せる。罫線がまったく引かれていない、自由帳のような映画が北欧映画なのかも知れない、と。

あらためて考えると、スウェーデン人の余暇も自由帳のような過ごし方なんですよね。柵がなければどんな森にも入っていっていいし、禁止されていない場所では自由に泳げる。東京のような都会に暮らしていると、「ここは入っていい場所です」とか、「ここは泳いでいい場所です」とか、誰かに示してもらわないと自分の行動が決められないヒトが多いような気がするんです。

日本のテレビ番組だと、スタッフの笑い声が入っていて、いちいち「ここは笑う場所なんですよ」と示される。テロップでは文字が強調されることで「これはスゴいんですよ」と示される。誰かに示してもらわないと自分で物事の価値を判断できないというヒトが増えていないでしょうか。

SNSの「いいね」の数もそうですかね。「いいね」の評価がつかなくても、自分でそれが「良い」か「悪い」かの価値を測れる人間で在り続けたいものです。

ということで、「アントレプレナー」は”北欧映画を体験する”という意味ではものすごくいい映画でした。日本人の常識を破壊してくれますよ。「うわあ、こういう価値観が北欧なのかな」という感覚は「アンネリオンネリ」じゃ起きませんから。そんな作品を上映してくれるノーザンライツはスゴい!とキレイにまとめておきます。

自分にとって初めて映画館で観たスウェーデン映画「散歩する惑星」の衝撃は忘れられないけれども(人生で最も何が言いたいのかわからなかった映画ベスト1)、今の自分が観ても同じ感想を抱くのかどうかテストしてみたい。

リッラ・カッテンの絵本、雑貨、あと雑用を担当。本を読むことよりも、大量に並んだ背表紙や古い本の雰囲気が好き。つまり、あんまり本は読みません。葛飾出身の日本人。インスタグラムは「@lillakattenpaper
2024 © スウェーデン菓子「リッラ・カッテン」