スウェーデンおつかい旅 2017(夏)@第14話:ストックホルムに翻弄される日曜日

2017年6月から7月にかけて、北欧スウェーデンとフィンランドへおつかいへ行くことにしました。その様子を準備段階からまとめていきます。

まだ夏至祭の気分が抜けきらない日曜日のストックホルム。人生の一部を過ごしたとはいえ、それはもう10年以上も前のハナシ。さすがに体に染み付いたハズの街への経験則は鳴りを潜め、しばしば手探りで街の暗黙のルールの読解に挑まなくてはならないことも。今日はそんなルールに翻弄されまくりの一日でした。

昨日の夏至祭にあたる土曜日が明け、本日から日曜日とはいえ街が通常営業モードに切り替わり始めた様子が見受けられます。ただし、日本のようにいつでも店が開いているというわけではなく、日曜日は休業している店が多かったり、営業していたとしても営業時間が短いので注意が必要です。

ということで、今日からいよいよストックホルムでのおつかいをぼちぼち始めようかと動き始めます。まずはストックホルムの中心からすこしはずれたところにある店を目指します。昨日にニシンのステーキを食べたスルッセンから電車に乗って向かいます。

…のハズだったのですが、スルッセン周辺は大規模な工事中。従来であれば電車でアクセスできるはずが、工事期間中は代わりのバスが出ているとのこと。で、そのバス乗り場はいったいどこにあるのか、もっとわかりやすく書いてほしい。もちろん、観光客が立ち寄らないような地元のヒトの生活が全開の場所に踏み入れようとしているのだからしょうがないのかもしれませんが。

結論から言うと、道に迷いました。自分のシックスセンスを信じてバス乗り場を目指して歩いてみた結果、どんどんヒトの気配がなくなる様子だったので、さすがにこの先にバス停はないだろうと判断して、また元来た道を戻ります。こんなことしょっちゅうですけれども、今日は先述したように日曜日の短縮営業日。時間との勝負なので、タイムロスは許されません。TIM(タイムイズマネー)なのです。

で、道に迷いながらもストックホルムらしい光景を目にしたので写真に撮りました。森と湖に溢れた国という印象を持っている方も多いと思いますが、ストックホルムはかなり岩でゴツゴツなのです。で、いま改めて自分の記憶が正しいかどうかを調べてみたのですが、この駐車場は実はもう一つ大事な役割を持っているのです。さて、それはいったいなんでしょうか。絶対にいい問題ですよ、これ。テレビ局なら飛びつきそう。

もう答えを書いてしまいますが、この駐車場は”核シェルター”です。1957年に完成した当初は世界最大だったそうで、ヨーロッパで一番大きな駐車場だったそうです。有事の際には2万人が収容でき、550台のクルマが停められるそうです。観光客としてストックホルムを訪れてもなかなか内部を見る機会はないと思いますが、一度なかに入ってみたいものです。

で、間違った道をもどり、ちゃんと丁寧に看板を追いかけていった結果、バスターミナルに着きました。が、どのバスに乗れば目的に着くのか全然わからない。「これかな?」と目星をつけたバスの運転手に「ここに行きますか?」と尋ねても、首を捻るだけでノーヒント。スマホの地図を見せても、おそらく周辺のことをよくわかっていない感じです。運転手は移民の方でした。

スウェーデン、特にストックホルムでは日常の生活のなかで本当にたくさんの移民が街の労働力として存在感を放っています。ただ、彼らの多くも大人になってからスウェーデンに来てスウェーデン語を勉強したヒトがたくさんいます。つまり、言い方は悪いですが、キレイなスウェーデン語を話してくれるわけではありませんし、こちらの中途半端なスウェーデン語を汲み取ってくれる力もスウェーデン語ネイティブほどではありません。

今回のバス運転手のように、融通が利かないケースも結構ありますが、そうなったらもう尋ねる相手を変える方が早いです(と、自分のなかでは思っています)。日本の交通機関のシッカリさは、日本で生活していると気がつきませんが本当にありがたいことなんです。

政治家はアレだけれども、やっぱりなんだかんだで日本に住むのが一番安心して暮らせるなと自分は感じています。

で、ココロが超折れそうになって、もう行こうと思っている店をあきらめて次に行こうとも考えたのですが、結局は自力で乗るべきバスを見つけることができました。そしてなんとか目的の店に行き、IKEAバッグいっぱいにモノを買えたので満足です。

初めて行った店なのですが、こうやって品揃えに満足できる店の知識を溜めていくことでまた次回のおつかいをスムーズにできますね。今回は電車の線路が工事中でバスで行かざるを得ない状態でしたが、次回はもっと簡単にアクセスできるようになっていることを祈ります。

買った物品を滞在先のホテルに置きに戻り、店が開いているうちにもう一軒まわることにします。昨日も通ったガムラスタンを通過。また明日もこの地域に用事があるから訪れるんですけどね。贅沢な響きがしますか?

で。今日2軒目の目的地は、よく調べていなかったことが災いして、今日は夏至シーズンの影響で営業していませんでした。夏至のバカヤローです。いや、調べていなかった自分が悪いのですけれども。

その代わりに3軒目、4軒目と営業している店を回りました。スウェーデン語絵本、パーティーにぴったりの紙ナプキン、絵はがきなどなど。はやくカッテンに並べてみたいです。かなり店内の雰囲気が変わると思うんですけどね。

変わり種としては、レトロな電話機(日本で使えるのか?)、レトロなやかん(なかがサビサビだ)、嗅ぎタバコ入れ(タバコのにおいが…)というヘンテコラインナップを購入しました。でもどれもちゃんと、ちょっとスウェーデンに関連していることを確認して購入したので、スウェーデンレトロが好きな方には気に入ってもらえると思うんですけどね。

電話機は飾っておいたらオシャレだし、やかんは花とかいれてもいいと思うし、嗅ぎタバコいれは洗えばなんとかなるんじゃないかと思うし、使うヒトが自分で考えて楽しんでもらえるものを増やしたいです。

で、荷物もそこそこ溜まってきたので、郵便局に荷物を運びにいこうとおもったら土砂降りの雨。今日はいろいろと歯車が噛み合わない日なのです。

ヘルシンキと同様に、いきなり土砂降りになるんですね。実は6月にスウェーデンに居るのって初めてなのです。留学しにきたのは8月から6月のアタマまでだったので、夏至の頃にスウェーデンに居たことがないんですよね。でも自分は夏以外のストックホルムの方が性にあっています。誰もいないスカンセンは嫌いではない。

荷物が濡れてしまっては大変なので、郵便局に行くのはあきらめてカフェに行くことにしました。日本にいるときから行くことは決めていたVetekatten(ヴェーテカッテン)という老舗のカフェです。ここの洋菓子は日本人にも評判がいいようなので期待しています。何度もこの店の前は通っていたのに、まだ入ったことはないのです。あまりにも名前をよく聞くので逆に入らないようにしていたというのが真相です(天の邪鬼とは仲良しなので)。

…が、夏至スケジュールのために本日は本店は営業していない、と。ほかの系列店は営業しているらしく、それほど遠くはなかったのでそのうちのひとつに行ってみたのですが、閉店時間が近づいていたこともあってシナモンロールなど売り切れてしまっていたし、日を改めることにしました。

(ちなみにヴェーテカッテン本店の前に着いたこの時点で雨はすっかり上がってこれでもかというくらいの晴天。きっと誰かがスイッチを握っている。気を取り直してあとで荷物を出しにいこう。)

ここまで来ておいてそのままホテルに戻るのも癪(しゃく)なので、留学中によく来ていたケバブ屋さんで夕飯を食べることにしました。ヴェーテカッテンのすぐ近くにあります。味がよくて通っていたとかではなく、どこのケバブが一番安いかなという基準で選んでいただけなので、味はあまり憶えていません。

いいですね、ドリンクに氷がないところが。そして店内の雰囲気も留学当時とまったく変わっていない。味は食べてみたところ、何も憶えていませんでした(ぶっちゃけ、いま滞在しているホテルの近くの、いたって普通のケバブ屋さんの方が…)。ただ個人的に思い出の店に食べに来られただけで満足です。

食べ終わってからホテルにもどり、その足で今日出したかった荷物を郵便局へ持っていきました。今日の噛み合なさから、下手したら郵便局まで早くしまっているんじゃないかと心配してしまいましたが、無事に提出が完了。いい感じに締めくくれたのでヨシ。

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「移民とうまく付き合わなくては行けないこと」、「店の営業日に気をつけなくてはいけないこと」、「雨が降ってもすぐに止むこと」、などなど。そのほかにも「自転車の専用道を歩いていると結構本気で怒られることがあること」や「歩行者の信号無視は当たり前であること」など、大小さまざまなスウェーデンのルールを感じています。

ガイドブックには載らない、現地に来ないと体感できないルールのなかに身を置くことが個人旅行の醍醐味でしょうか。ツアー旅行で訪れるスウェーデンもラクでいいかもしれませんが、個人旅行もおすすめです。結構ストレスたまる場面やヒヤヒヤ&オロオロする場面もありますけれども、それはそれで辛口のスパイスなのです。

ビョルネン・ソベル

リッラ・カッテンの絵本、雑貨、あと雑用を担当。本を読むことよりも、大量に並んだ背表紙や古い本の雰囲気が好き。つまり、あんまり本は読みません。葛飾出身の日本人。インスタグラムは「@lillakattenpaper

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