スウェーデンおもひで噺 #04「初めてスウェーデンに行ったときの噺(1)」


初めてスウェーデンに行ったときの噺

自分は北欧の各国の言語、『スウェーデン語』、『デンマーク語』、『ノルウェー語』、『フィンランド語』を学べる数少ない学校、東海大学の出身。

当時は文学部北欧文学科という名前で、そのなかから更に各国ごとの専攻に分かれていました。つまり、自分の場合は文学部北欧文学科スウェーデン語専攻。

入学して半年間はどの専門にも属さず、広く『北欧』に対する基礎知識を学ぶ授業が続きます。それらの授業を経て、そこで初めて自分がどの言語を専攻するのかを決めるのです。

そもそも北欧に興味がなかった自分は、基礎知識を学ぶ前からスウェーデンを専攻しようと決めていました。なんとなく、北欧各国のなかでスウェーデンの名前を一番耳にしていたような気がするから。特に理由はありませんでした。

それから半年が過ぎて、北欧に関する一通りの基礎知識を学び、専攻する言語を決めたら、ここからようやく実際に言語の授業が始まります。自分の学年で、北欧文学科全体では110人程度、さらにスウェーデン語を専攻に選んだ生徒はおおよそ30人強ほどだったと思います。

何を隠そう、自分も北欧に興味がないのに北欧文学科に入ってしまった人間。同じように志低く入ってきた友人たちと、大学生ならではの緩い毎日を過ごしていました。とりあえず大学を卒業しておこうとは思うけれども、スウェーデン語を勉強して何かに活かそうという考えは皆無だったのです。

もちろん授業の出席日数は最低限。スウェーデン語の授業の内容もチンプンカンプンでした。半年に一度発行される成績表には取得単位と学科内の順位が記載されるのですが、110人ほどの生徒のなかで、下位10人に入るほど。まあ、それでも卒業できれば順位なんてどうでもいいだろうと。

そんなやる気のない生徒でしたが、やがてスウェーデンに行く機会が訪れます。今はどうなっているかわかりませんが、北欧学科には2年に1度、専攻している国を訪れる「研修旅行」という制度がありました。2年生以上の生徒が対象であり、自由参加ですが、お金を払えば誰でも研修旅行に参加できました。

自分の学年では2年生の夏休みにこの研修旅行が実施されるということで、せっかくなので参加することになりました。いま思えば、そんな軽い気持ちでの参加に対して費用を負担してくれた両親に感謝すべきですね。

研修旅行でスウェーデンに滞在する期間は3~4週間ほど。前半はスウェーデン南部のブレーキンゲ地方にある「国民高等学校(スウェーデン語:Folkhögskola)」という教育施設に滞在し、現地のスウェーデン人の先生によるスウェーデン語の授業を体験。そして後半はスウェーデン各地を団体旅行するという流れ。

まずはデンマークのコペンハーゲンへ飛行機で。それから、当時まだ完成したばかりのデンマーク=スウェーデン間を結ぶ鉄道でスウェーデンへ。外国へ行ったことがなかったわけではないけれども、大学の講義のなかで触れられていた内容のリアルを目にする機会も多かった。

しかし。この研修旅行を単なる”旅行”と捉えれば楽しいのかもしれませんが、自分はこの初めてのスウェーデン滞在のなかで、あるフラストレーションが溜まりつつありました。

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リッラ・カッテンの絵本、雑貨、あと雑用を担当。本を読むことよりも、大量に並んだ背表紙や古い本の雰囲気が好き。つまり、あんまり本は読みません。葛飾出身の日本人。インスタグラムは「@lillakattenpaper
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