ビョルネン日報@18年10月24日(水)はれ

18年10月24日(水)はれ。今日一日、お店であったあんなことやこんなことだったり、思ったことなどを綴ります。

「御魚ギャラリー」展示内容

店内イベント

今後のガイダンス開催予定日(いずれも16時~17時)
  • 【10月】11日(木)/25日(木)/27日(土)

店外イベント

今日のリッラ・カッテン

Wikipedia「ヤンソンの誘惑」を編集しました

今日は新作ポストカードを紹介しようと思っていましたが、昨日もカードを紹介したばかりですからね。やっぱり話題を変えます。

10月06日(土)のイベントのなかで、「Janssons frestelseヤンソンス・フレステルセ(ヤンソンの誘惑)」が登場したので、10月06日(土)の日報のなかでも紹介しました。

一応ご存知ない方のために説明しておくと、「ヤンソンの誘惑」とはスウェーデンのアンチョビ入りポテトグラタンといった具合の料理です。その名前のキャッチーさも相まって、北欧料理として紹介されることもしばしば。

で、日報にて「ヤンソンの誘惑」を紹介するにあたって、その名前の由来を調べてみるわけですよ(ここに書いていることって、意外と時間を掛けて情報の裏を取ってから載せているのです)。「たしか、ヤンソンという菜食主義者でも思わず食べてしまうほど…」みたいな由来だったと思うけど、みたいな。正直、自分もそう思っていました。ちなみに店長もそう思っていました。

でも、いざスウェーデン語のそういった情報をネット検索して探そうとしてみても…ないんですよ。スウェーデン語で「ヤンソンの誘惑」の由来について調べても、どこにも「ヤンソンさんが思わず食べてしまった」なんてどこにも紹介されていないんです。

日本語版Wikipediaには「19世紀に実在したと言われる菜食主義のエリク・ヤンソンという宗教家」とあったので、その人物と思われるErik Jansson (predikant)をスウェーデン語版Wikipediaで調べても、「ヤンソンの誘惑」との関連はなさそう。

10月06日のイベントで提供した「Janssons frestelseヤンソンス・フレステルセ(ヤンソンの誘惑)」

ではスウェーデンではどのような起源が紹介されているかというと、現在は映画「Janssons frestelse(ヤンソンの誘惑)」に因んだという説が最有力。そしてその説が有力となる前は、オペラ歌手のPelle Janzonの名前が由来になっていた説が強かったそうです。

オペラ歌手説について、「”Janzon”なら、”ヤンゾン”じゃんで草」と思われるでしょうが、スウェーデン語に『ザジズゼゾ』の発音は基本的に存在せず『サシスセソ』で代用されるため、”Janzon”という綴りで”ヤンソン”と発音されるわけですね。なんだか推理小説に使えそうだ。

いまのところ日本で流布されている説をほのめかすスウェーデン語の記述は見つかっていません。

もちろん、自分が見つけていないだけで、スウェーデンにも「宗教家ヤンソン説」は存在するのかもしれませんが、それはいわゆる”悪魔の証明”。存在することを証明するよりも、存在しないことを証明する方が難しい、というものです。

自分がいまアクセスできる情報はネット情報だけなので、本当はネットよりも情報信憑性の高い、複数の書籍の内容も確認できてからと考えていたんですけど。

後から知って驚いたのですが、フクヤさんとのTwitterでのやり取りの中で、じつは日本語版Wikipediaの「ヤンソンの誘惑」を最後に編集していたのがフクヤさんだったという告白が。さらに「何かわかったらWikipedia更新してください」との言葉に、先輩からの要請では断れないな、と。ずっとアタマにそのタスクが張り付いていたので、一旦その荷を下ろしておくことにしたのです。

Wikipediaを編集するのって、すごい気を遣いますね。とりあえず「宗教家ヤンソン説」は根拠ナシの可能性が高いと判断して、その打消しをさせていただきました。逆に「宗教家ヤンソン説」の根拠となるソースをご存知の方がいらっしゃれば、お知らせください(テキトーな情報はいらないですけれど)。

※ スウェーデン語絵本の登録の復旧はしばらくお待ちください

リッラ・カッテンの絵本、雑貨、あと雑用を担当。本を読むことよりも、大量に並んだ背表紙や古い本の雰囲気が好き。つまり、あんまり本は読みません。葛飾出身の日本人。インスタグラムは「@lillakattenpaper
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