ビョルネン日報@18年06月05日(火)はれ

18年06月05日(火)はれ。今日一日、お店であったあんなことやこんなことだったり、思ったことなどを綴ります。

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2018年6月のガイダンス開催日
  • 06月07日(木)16時~17時
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今日のリッラ・カッテン

最近なんだかイングリッド・ファン・ニーマン(Ingrid Vang Nyman)の絵が気になってしょうがないのです。大学生のとき、初めてスウェーデン語版の「長くつ下のピッピ」の絵を見たときに「なんだこのエジプトの壁画のような絵は」というような決してポジティブ寄りではない感想を抱いていたというのに。

初見からニーマンのイラストのタッチに魅力を感じる方もいらっしゃるでしょうが、自分はそんな感じの印象を受けました。思っちゃったんだからしょうがない。しかしそれがいつのまにか、いまではこの唯一無二な力強いタッチがクセになってしまいました。

彼女にとってプロとしてのデビュー年である1945年。「長くつ下のピッピ」の第一作が出版された年ですが、それと同時期に携わった「Ivik den faderlöse(父のいないイーヴィク)」という作品でも挿絵を担当していました。

グリーンランドで暮らすエスキモー(地域によってイヌイットと呼ぶべきかもしれませんが、作者の意図どおりエスキモーと表記します)の少年を扱った児童文学作品です。作者であるPipaluk Freuchen(ピーパルク・フロイゲン)の母親がグリーンランド出身であり、自身も幼少期をグリーンランドで過ごしたりしていたこともあり、グリーンランドのエスキモーのかつての生活の様子がリアルに描かれています。

オリジナルはスウェーデン語で書かれたのですが、古い作品だしさすがに入手は難しいか…と思っていたら、なんと2008年に「北のはてのイービク」として日本語へ翻訳出版されていたんですね。さっそくネットで購入、2時間ほどで一気に読み終えました。ピーパルク・フロイゲンによって書かれた作品は本作が唯一らしく、そこもまた感慨深い。

巻末の情報によると訳者の「野村 泫(ひろし)」さんは1925年生まれとのことですが、年齢を感じさせない自然な日本語でとても読みやすい訳文であったことに驚きました。ドイツ語版をベースにスウェーデン語版を照らし合わせての翻訳をしたとのことですが、翻訳作品の文体が苦手な自分でもあまり気にならない自然な日本語がありがたかった。ちょっとヒロシファンになりました。

ところでスウェーデン語の作品がどれだけ日本で翻訳出版されているか想像つきますか。具体的な数字を挙げることはできませんが、日本語へ翻訳されているスウェーデン絵本や児童文学はビックリするくらい多いと感じています。

しかしスウェーデン語の絵本作品やスウェーデンの絵本作家に関するまとまった情報は、書籍はもちろん、ネット上にもほとんど存在しません。もったいない。で、誰もやらなそうなので自分がやることにしました。

ちなみにスウェーデン語でネット上の情報を探しても、満足にスウェーデンの絵本作家に関する情報が集まらないこともあります。たとえば上の画像はニーマンが生誕100年を機に出版された本ですが、この本の表紙に書かれた文章にも「ニーマンのイラストは広く知られているのに、ニーマン本人についてはほとんど知られていない」という趣旨の一文が書かれています。そんなもんなのかな。

スウェーデン語絵本情報の登録ページ

いまは検索性に乏しいですが、もっと情報が溜まってきたらもう少し活用できるようにしていきたいと考えています。

で、1日1冊を目標に更新していくつもりなので、日報にも更新した絵本の情報の一部を掲載してみます。しばらくはメジャーな作家の本を中心に更新していくことになるハズ。

ついでに、ネットショップものろのろと改修工事を進めています。スウェーデン語絵本コーナーの充実を図るべく、昨年末から「やるやる」と言ってたような気がしますが、サグラダファミリアの建築現場を眺めるような気分で見守ってください。

登録したスウェーデン語絵本情報:
Solägget av Elsa Beskow(エルサ・ベスコフ)

この本では季節のダンスを踊るのが好きな”森の小さな妖精”について語らています。ある日、彼女は森のなかで大きくて黄色い球体を見つけました。そしてすぐに「きっと太陽が産んだタマゴが空から落ちてしまったのだ」という結論を出したのです。妖精とその友人たちは、一緒になってタマゴがどこから来たものかを探り出すことにしました。

ビョルネン・ソベル

リッラ・カッテンの絵本、雑貨、あと雑用を担当。本を読むことよりも、大量に並んだ背表紙や古い本の雰囲気が好き。つまり、あんまり本は読みません。葛飾出身の日本人。インスタグラムは「@lillakattenpaper

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