スウェーデンおつかい旅 2017(夏)@第21話:ヨーテボリの多島海に浮かぶ島を探検

2017年6月から7月にかけて、北欧スウェーデンとフィンランドへおつかいへ行くことにしました。その様子を準備段階からまとめていきます。

これまで自分はヨーテボリには何度か訪れているのですが、あまり観光らしい観光をした記憶があまり残っていません。今回はリカードの家に泊めてもらっていることもあり、たくさんの新しい体験をさせてもらうことができています。その中でもとても印象的な一日になったはずの今日、いい思い出ができました。

今日は日曜日。リカードからの提案でヨーテボリのアイデンティティのひとつと言っても過言ではないであろう、多島海に浮かぶ島を訪れることにしました。アクセスしやすい島の中で一番おおきな島である”Styrsö(ストゥーシュ島)”を目指します。

リカードの家からフェリー乗り場に向かう道すがら、ヨーテボリで一番古い街であろうエリアを通りました。ここはここで歴史に興味がある方にはオススメできるかもしれません。とりあえずフェリーが出るまで時間がそれほどないので、今日のところは通過するだけで勘弁してやろうと思います。

ここが目指していた船着き場。本来はトラムで遠くの駅まで行かなくては乗ることができない船なのですが、夏の間は一日に一度だけ特別に市の中心地ちかくから運行されているようです。観光客も利用するようですが、主には島に住んでいる地元の方の足になっているフェリーです。

フェリーに取り付けられたスウェーデン国旗がいい感じにはためいていました。今日は雨の予報も出ていて寒くなることも予想されていましたが、それに反して太陽が出ている時間は多く、結果的に雨が降ることはありませんでした。その代わりにものすごい風が強くて、被っている帽子さえ飛ばされてしまうくらいの強風がひっきりなしに吹いていました。

正確に時間を計ったわけではないので体感でしかありませんが、おおよそ30分ほどでしょうか。強風にも関わらずそれほど大きく船が揺れることもなく無事に島へ到着することができました。

島の港に着いてまず目に入ったのは、まだ立てられたままにしてあった夏至祭を祝うためのポール。「そうか、夏至祭の日にはスカンセンではなくここに来ればいいのかも」という考えがアタマをよぎりました。もしかするととんでもない多さの観光客でにぎわう可能性はありますが、もしかすると地元のヒトたちだけでひっそりと祝われる伝統的な夏至祭の様子をゆっくり眺めることができるかもしれません。

ちょっと高いけれども、島には宿泊するための施設、ペンションも存在するようです。スウェーデンでいうペンションは、日本でいうペンションのように、民宿のちょっとおしゃれバージョンというわけではなく、一日を掛けてレクリエーションを楽しめるような宿泊施設という意味合いをもっているらしいです。だからフツーのホテルよりもちょっと高め。ちゃんと調べればほかにも宿泊できる場所はあるかもしれませんけどね。

島での暮らしは想像をはるかに超えてのどか。島の中では基本的に車の運転は禁止されているようで、住民たちはこうした荷台の取り付けられたバイクのようなもので移動します。もしくは普通の自転車やバイクも走っていましたが、基本的にはこの荷台付きバイクが冬眠の間で活躍しているようです。島を歩き回っている間にも、この荷台付きバイクにヒトを乗せて走っている光景を何度も目にしました。

島内を散策しているあいだにリカードが見つけてくれたルバーブ。先日に街中で見かけたものよりもかなり立派なルバーブです。手が届く範囲に生えていましたが、あきらかにヒトの家の庭だろうというところに生えている物をもぎとるわけにもいかないので、ここは写真に収めさせていただくに留めました。

ルバーブのほかにもRödvinbär(アカスグリ)の実がなっている薮があったり、まだ季節ではないようですがブルーベリーの茂みが森の中にあったり、かなりスウェーデンレベル高めのアイテムが道ばたに揃っていました。

残念ながら、この島でのすべての体験を書いていたら夜が明けてしまうので、また別のカタチでなにかしら紹介できるといいですね。今日はこの先もまだ書くことがたくさんあるのだ。

で、海に面した立地を持つカフェというかレストランというか、そんなお店で昼食をとることにしました。地元の方も利用するであろう、落ち着いた雰囲気を持つステキな場所です。

自分たちが注文したのは『Skardjurspaj(甲殻類のパイ)』。カニやらエビ、ザリガニなんかも入ったパイです。こんな島で食べるPyttipanna(伝統的なジャガイモとベーコンの炒め物)でもいいかなと思ったのですが、ヘルシンキでも食べたので今回はパイにしました。

マヨネーズ類が得意ではないのですが、付け合わせとして並べられた『エビのマヨネーズ和え』もとても食べやすかった。そう感じたのはこの島の雰囲気によるものでしょうか。いや、そんなにきれいな描写にもしなくていいんじゃないかと思うんですけれども、とりあえず食べやすかったのです。

島でのほとんどの時間を散歩に費やしたのですが、まるでスウェーデン文化が凝縮されているような島でした。個人的にストックホルムやヨーテボリの中心地ではすでに失われつつあると感じる伝統的なスウェーデン文化が残された地域。またお気に入りのスポットがひとつ増えました。

いろいろなものがたくさんあることが富であると思われがちですが、この島を散策していると何もないことも富だなと感じざるを得ないのです。もしもスウェーデンのどこかに引っ越してもいいよと言われたら、いまのところこの島を選ぶでしょうね。

旅の終盤ということもあり、疲れから帰りは少しうとうとしてしまいました。

さて、本日は島を訪れたあとにもうひとつイベントがありました。それはリカードの実家での夕飯へのお呼ばれ。リカードは両親の住む実家の近くに住んでいるので、ちょっと歩けばスグに会えるのです。

これがリカード母さんがつくってくれた夕飯。なんと、グリルチキンとルバーブが一緒になっています。自分が知らなかっただけですが、ルバーブのこんな使い方もあったんですね。

主食はスウェーデンではおなじみのジャガイモ、そしてサラダ。

ルバーブと鶏肉、そしてソース。最近になってミートボールとコケモモジャムを一緒に食べることに慣れてきたいまの自分にとっては全然大丈夫。以前まではフルーツとしょっぱい系を掛け合わせるのは酢豚以外許せませんでしたが、いまは大丈夫。

このルバーブの使い方は店長に報告すべき事案だと思われるため、いいカタチでのルバーブ体験ができました。

夕飯の後には腹ごしらえ。スウェーデンで人気の”Boule(ボウル)”という遊びに誘ってもらいました。ハナシによると、フランスから取り入れられた遊びだそうで、たまにこの遊びをしているスウェーデン人たちの姿を見て「なんだこれ」と思っていたのでした。

ちなみにスウェーデンでの一般的な名称はボウルですが、日本でも”ペタンク(pétanque)”として一部の方たちの間で楽しまれているようです。ヘンな名前!

ルールはちょっとカーリングに似ていて、小さな木でできたボールに大して鉄球を投げて、それに対して1セットごとに一番近い鉄球を位置づけることができたチームが得点を得ます。

それぞれのチームが6つずつ鉄球を投げるチャンスを持っており、木でできたターゲットボールに近い鉄球を所持していないチームが鉄球を所持しているかぎり投げ続けます。

まあ、文章で説明してもよくわからないと思いますので、とりあえず鉄球を用いたカーリングのようなゲームだと捉えてください。

鉄球を投げるリカード。鉄球がどこにあるか探してみてください。

砂場に似たような場所で鉄球を投げて楽しんでいる人々をスウェーデンで見かけたら、「ははーん、ボウルをやっているのですな」と自分は知っているということをアピールしてニヤニヤしてください。

ボウルを楽しんだあとは、また別のベクトルからの楽しみが。デザートが提供されました。『Smördegsspaj(クランブルタルト)』という、そぼろ状のカリカリが乗せられた、スウェーデンでもよく食されるデザートです。

このクランブルタルトに入れられたベリーは木イチゴとアカスグリの実なのですが、これはリカードファミリーが夏至祭シーズンを過ごしたダーラナ滞在時に森で採ってきたものを使用したとのことでした。

島の中で見た生活の様子や、リカードファミリーとの時間など、様々なスウェーデン体験ができた一日でした。それにしてもあまりにも眠すぎるので、もし一部で変な文章になっていたらすみません。

ビョルネン・ソベル

リッラ・カッテンの絵本、雑貨、あと雑用を担当。本を読むことよりも、大量に並んだ背表紙や古い本の雰囲気が好き。つまり、あんまり本は読みません。葛飾出身の日本人。インスタグラムは「@lillakattenpaper

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