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スウェーデン洋菓子「セムラ(Semla)」について

2018.1.29

スウェーデンにはクリスマスが終わったころから街中で姿を現しはじめる「セムラ」というスイーツがあります。本ページではリッラ・カッテンで提供しているセムラについて、またセムラに関する逸話まで紹介します。

リッラ・カッテンのセムラ

クリスマスが終わるころからイースターまでの期間、スウェーデンの洋菓子店やカフェではセムラというスイーツが姿を現します。セムラは見た目こそシュークリームのようなカタチをしていますが、ベースはシュー生地ではなく、パンをつかうスイーツです。

リッラ・カッテンではパンから焼いてセムラをつくっています。スウェーデン語で書かれたレシピを基にカルダモンが薫るパン生地を焼いていますが、パンの食感は日本人の嗜好にあわせて、本国スウェーデンのセムラよりもやわらかめに仕上げています。

このパン生地のなかをくり抜き、その空間にホイップした生クリーム、その下にアーモンドペーストが層になって重なっています。そしてアタマから粉糖をまぶせばセムラの完成。ちなみにこのアーモンドペーストの原料は(ここだけのハナシ)決して安いものではないのですが、リッラ・カッテンのセムラはスウェーデン語で書かれたオリジナルレシピよりも多めにしっかりと詰め込んでいます。

ちなみにくり抜いたパン生地をアーモンドペーストに混ぜ込むのもスウェーデン風セムラを再現するためのコツのひとつ。こうすることで、アーモンドペーストまでカルダモンの薫りが広がり、セムラ全体がスウェーデンらしい味に仕上がるのです。

大きさ、甘さ、パン生地のやわらかさまで、スウェーデンのレシピを日本人向けアレンジしていますので、本国スウェーデンでセムラを食べた方から初めてセムラを食べる方まで、リッラ・カッテンのセムラを新鮮な気分で楽しんでいただけると思います。

当店におけるセムラのおおよその提供時期は年始から3月いっぱいまでを目安とした期間限定。ちいさなお店なのでご用意できる数には限りがあるため、売り切れの際はご容赦を。

スウェーデンにおけるセムラの歴史

Camilla Degerman/imagebank.sweden.se

セムラの起源は、キリスト教のイースター前の断食と関係があります。

イースター前の断食が始まる水曜日の前日(なぜ水曜日に断食が始まるのかという理由については省略)、つまり火曜日に「いまのうちに栄養を蓄えよう」という意図から始まった習慣でした。そのことからセムラを食べる火曜日のことを”fettisdagen(太っちょ火曜日)”と呼ぶようになりました。ちなみにイースターは移動祝祭日のため、毎年同じ日ではありません。よって、イースターの断食が始まる日も、セムラを食べる”太っちょ火曜日”も、毎年日付が変わります。

セムラの前身となった習慣はデンマークやドイツから伝わったのではないかと言われていますが、当初はとくに味付けなどはされていない普通のパンだったとのこと。普通のパンであったセムラは、時代とともに甘く味付けをされていくことになります。ハチミツで甘くしたり、クリームやバターをつけたり。アーモンドペーストとクリームの層を含んだ現在のセムラの形式ができあがったのは1700年代からのようです。

断食が行われていたころは「セムラを食べてもよい日は”太っちょ火曜日”だけ(諸説あり?)」などと、厳格に限定されていたのですが、断食の伝統がなくなると、次第に人々がセムラを楽しむ時期も長くなっていきました。いまではクリスマス翌日あたりからイースターのころまで通してセムラは楽しまれています。いまでは春の訪れを感じさせてくれる風物詩として、セムラはスウェーデンの文化に欠かせないスイーツのひとつとなりました。

スウェーデン人1人あたりが年間に食べるセムラは平均して4つから5つだそうです。つまりスウェーデン国内で4,000万ものセムラが消費されている計算になります。本来セムラを食べる日として定められていた、先述の”太っちょ火曜日”だけでも500万のセムラが消費されるそうです。

ちなみに、カウントにはホームメイドのセムラも含まれているそうです。家庭でもつくられるほどスウェーデンの文化として浸透したスイーツであることを伺わせます。

セムラのスマートな食べ方

Mona Loose/imagebank.sweden.se

セムラは手で食べても、フォークで食べても、好きな方法で食べていただいて結構。しかし、やっぱりどうやって食べていいか困ってしまうという方のために、スウェーデンでエチケットに関するエキスパートを名乗っていたMagdalena Ribbingさん(以下、マグダレナさん)による”セムラのオススメの食べ方”があるようなので紹介します。

1. セムラのフタでクリームをすくい取ってから食べる
セムラにかぶりつく前に、セムラのフタでクリームをすくい取ってフタと一緒に食べます。あらかじめクリームの量を減らしてからかぶりつくことで、セムラのクリームが鼻についてしまうリスクを軽減できるということです。実際にスウェーデン人がこうやってセムラを食べている光景は見るので、ちょっとした”セムラ上級者気分”も一緒に味わってください。
2. セムラをナイフとフォークで食べる
ナイフとフォークで切って食べる。単純で当たり前ですが、「セムラに含まれる、パン生地からクリーム、アーモンドペーストに至るまでの層をスマートに食べる唯一の方法」としてマグダレナさんに紹介されています(すこし大袈裟)。しかし、残念ながらリッラ・カッテンにナイフのご用意はありません。購入していただいたセムラをご自宅で楽しんでいただく際に試してみてください。
3. セムラをあたたかいミルクに浸す
セムラを深皿に移して熱いミルクを注ぎ、ミルクがしみこんだパンをスプーンで食べる。「Hetvägg(ヘートヴェッグ)」と呼ばれる古いセムラの食べ方だそうで、当時はシナモンをまぶしたりもしたらしいです。しかしこちらも残念ながら、リッラ・カッテンでご用意することは難しいので、興味のある方はご自宅で。

上記の食べ方について、その様子を以下のリンク先から動画で確認することもできます。マグダレナさん本人が解説している動画で、場所はストックホルムの有名店”Vete-katten”のようです。全編スウェーデン語ですが、セムラを食べる際に参考にしてみるのもいいかもしれません。

Ribbing: Så äter du semlan utan att tappa stilen

※ 2018年01月は視聴可能であることを確認しています

セムラに関する逸話

Lola Akinmade Åkerström/imagebank.sweden.se

スウェーデンでは毎年4,000万ものセムラが食されているそうです。かつてはお金持ちが食べるものだったセムラですが、いまではすっかり冬から春にかけての季節の風物詩となり、日本でもその名前が広く知られるようになったと感じます。そんなセムラにまつわるよもやま話を紹介します。

かつてのスウェーデン国王がセムラの食べすぎで亡くなった
ウソのような話ですが、スウェーデン語でセムラのことを調べていると、このことについての言及がいろいろなところで見られます。嘘か真か、「食に魅せられたAdolf Fredrik(アドルフ・フレードリーク)王がセムラの食べ過ぎで亡くなった」という逸話は、どれだけセムラがスウェーデン人に親しまれているかを示す逸話として印象的。
セムラのフタにはバリエーションがある
リッラ・カッテンのセムラのフタは丸形ですが、スウェーデンには丸形のフタもあれば、三角形のフタをしているセムラもあります。また、フタに粉糖をまぶすセムラが主流のようですが、アーモンドとパールシュガーをまぶしたセムラを提供するお店もあるそうです。
セムラの語源はラテン語の「小麦粉」
「semla(セムラ)」の語源はいくつかあるそうですが、そのうち1つはラテン語で”小麦粉”を意味する「semilja(セミリヤ?)」からの由来になっているという説があります。
フィンランドではセムラにラズベリージャム
スウェーデンではアーモンドペーストを詰めてつくるセムラですが、隣国フィンランドではセムラにラズベリージャムを詰めてつくるとのこと。そしてノルウェーやデンマークではジャムやバニラクリームまたはチョコレートを詰めるらしいです。
さまざまなバリエーションで楽しまれるセムラ
スウェーデンでは従来のスタイルをアレンジして、いろいろなバリエーションのセムラが登場しています。ティラミス・セムラやサフランセムラ、デニッシュセムラ。ほかの伝統的なスウェーデン洋菓子とミックスして、プリンセスケーキのような緑色のセムラだったり、トルティーヤのようにラップされたセムラまで。遊び心に溢れています。