ビョルネンは時間泥棒@19年07月17日(水)

スウェーデン洋菓子店のブログのようなものですが、スウェーデンがまったく関係ない話題ばかり。

「御魚ギャラリー」展示内容

  • 19年06月11日(火)~19年08月02日(金)
    『インゲル&ラッセ・サンドベリ夫婦作家の絵本展』

スウェーデン語教室

今後のガイダンス開催予定日(いずれも16時~17時)
  • 【07月】25日(木)
  • 【08月】03日(土)/08日(木)/17日(土)/29日(木)

今日の時間泥棒


不定期に開催しているスウェーデン人翻訳家のJanさんによるレッスン。今日までの3回にわたり、自分の課題として、スウェーデン国内で一世風靡したレトロ絵本を扱った書籍の序文を読みました。

シリーズは3冊あり、50年代、60年代、70年代に分かれていて、各10年ごとにスウェーデンがどのような時代背景を持ち、絵本や児童文学にどのような役回りが求められてきたのかが序文で短く論じられています。

今日の課題として読んだ70年代の絵本を扱った巻には、スウェーデンにおいて子供向けの本が学術的な研究対象として立派なテーマであるという位置づけを得た時代であったということが記されていました。「まだ子供だから、このテーマを扱うべきではない」などのタブーを生まず、大人と同じように子供を大人と同一視して扱ったという点も興味深かったです。

日本の絵本に対して深い造詣を持っているわけではないので比較が適当ではないかもしれませんが、たしかにスウェーデンの絵本って”現実”や”実社会”を扱っているものが多いように感じます。

漫画でいえば、スウェーデンの絵本は「闇金ウシジマくん」っぽいのかな。裏社会に耐性のない方にはオススメできない漫画で、主人公はタイトルのとおり闇金業者。「ホントにこんなヒト、世の中にいるの?」と思いたくなるほどダメ人間が、これだけ世の中で「闇金に手を出しちゃダメ」と言われているのに、結局お金を借りに来るわけです。

そんな裏社会に対して「見てはいけない」と、無かったものとして扱おうとするか。もしくは「これが現実」と、直視するか。どちらの考え方が幸福になれるかという問題はさておき、裏社会だって見えない所で展開しているだけで、実際にあるわけですよ。

ウシジマくんは極端だとして、もっと身近なところでいえば食肉とかわかりやすいかな。実際にそういうスウェーデンの絵本があるかどうかわかりませんが、生きた動物が食肉にされてスーパーに並ぶまでの過程を描いたり、そういうリアルが絵本のなかでストーリーとして扱われる傾向にあったのが70年代だったというわけです。リアルを扱った絵本は、大人が読んでも興味深く楽しめるものが多いですね。

このレトロ絵本を扱った書籍のシリーズは、スウェーデン人がスウェーデン人のために書いた本ですから、スウェーデン事情を知らないとなかなか理解できない言葉なんかもチラホラ出てくるので、Janさんによる翻訳チェックが本当に助かるのです。ありがたや。

次回の課題テキストは、「Eva Billowエーヴァ・ビロウ」という絵本作家&挿絵家の伝記にしようかと思っています。

リッラ・カッテンの絵本、雑貨、あと雑用を担当。本を読むことよりも、大量に並んだ背表紙や古い本の雰囲気が好き。つまり、あんまり本は読みません。葛飾出身の日本人。インスタグラムは「@lillakattenpaper
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