スウェーデン語絵本の100冊読書メモ@025冊目:Samlade sagor om Den underbara familjen Kanin

多くのスウェーデン語絵本を扱うリッラ・カッテンが、自分たちで実際に読んだスウェーデン語絵本を紹介します。目標はとりあえず100冊です。お店では扱わない作品、または絶版の作品もあるために入手が難しい絵本も含みますがご容赦ください。

2013年出版

Samlade sagor om Den underbara familjen Kaninおとうとうさぎのおはなし集

著:Jonna Björnstjerna(ヨンナ・ビョルンシェーナ)

* 誰に何を言われた…というわけではありませんが、今回から表紙の画像のみを紹介します。

日本でも翻訳出版されている”おとうとうさぎシリーズ作品”の3冊分を1冊にまとめた絵本です。

“おとぎの森”に住んでいるうさぎの家族、その家族の”おとうとうさぎ”が主人公となる絵本シリーズ。ちなみに主人公である”おとうとうさぎ”に具体的な名前、ダニエルとか太郎とかそういった名前はつけられていません。作中では”Lillebror Kanin”、直訳すれば”おとうとうさぎ”と呼ばれています。

この”おとぎの森”は広大なようで、彼ら家族が暮らしているのはおとぎの森のなかでも”素晴らしいエリア”。一方で、森のなかには”おそろしいエリア”も存在するのですが、おとうとうさぎたちは両親から「そこに行ってはいけないよ」と忠告を受けています。

とはいえやはり絵本ですので、なんやかんやで”おそろしいエリア”に立ち入ってしまうことでモンスターや魔女に出くわしてしまいます。怖がりで臆病者の”おとうとうさぎ”が知恵や勇気を振り絞って困難を乗り切るアドベンチャー要素溢れる絵本シリーズなのです。

個人的には、絵の緻密さ、キャラクターの表情、ストーリーの面白さ、どれも満点をつけたい素晴らしい作品。しかし残念なことに、この絵本を紹介している現時点(2017.09.04)では印刷された絵本として手に入れることが難しい状況になっています。

電子書籍として販売はされているのですが、その影響なのか、書籍として印刷・出版がされていないようなのです。この作品のこの状況を見て、いまの出版業界の業態の変遷に危機感を憶えました。これだけ素晴らしい作品でも流通が電子化されたものに流れていってしまうとは。今後、紙に印刷された絵本の未来はどうなってしまうのでしょうか。

この作品を描いたヨンナ・ビョルンシェーナの絵本作品もまだあまり多くはありません。陰ながら今後の彼女の活躍を楽しみにしています。

ビョルネン・ソベル

リッラ・カッテンの絵本、雑貨、あと雑用を担当。本を読むことよりも、大量に並んだ背表紙や古い本の雰囲気が好き。つまり、あんまり本は読みません。葛飾出身の日本人。インスタグラムは「@lillakattenpaper

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