スウェーデン語絵本の100冊読書メモ@023冊目:Barna Hedenhös – bilder från stenåldern

多くのスウェーデン語絵本を扱うリッラ・カッテンが、自分たちで実際に読んだスウェーデン語絵本を紹介します。目標はとりあえず100冊です。お店では扱わない作品、または絶版の作品もあるために入手が難しい絵本も含みますがご容赦ください。

1948年発表

Barna Hedenhös – bilder från stenåldernヘーデンフス家のこどもたち – 石器時代の様子より

作:Bertil Almqvist(ベッティル・アルムクヴィスト)

およそ4,000年前、メーラレン湖のほとりにへーデンフス一家が暮らしていました。原始時代と現代の様子が入り交じった不思議な世界観のシリーズです。

この絵本は原始人ヘーデンフス親子が登場するシリーズの第一作。原始人としての基本的な彼らの暮らしを面白おかしく描いています。自己紹介的な意味合いが強く、後に続いていくシリーズへの序章といったところでしょうか。

実は彼らは旅好きで、続編となるシリーズではエジプトやアメリカ、さらには宇宙なども訪れます。宇宙を訪れるという点からも推測できるように、アルムクヴィストの描く原始時代は実に現代社会とのミックスがうまく施されています。この作品のなかではストックホルメン(Stockholmen)という島へ移り住むことになるという、ウソ史実が登場したりします。

大人が読めば「そんな馬鹿な」と笑えますが、まだ知識の浅い子どもが読めばおそらく原始時代と現代の間で時代錯誤に陥ってしまうことは間違いないでしょう。それだけ時代のミックス描写が絶妙なのです。

今回はあえて第一作を紹介しましたが、ぜひとも続編も手にとってほしいシリーズです。そのうち続編も紹介するときがくるかもしれません。

とにかくヘーデンフス家族シリーズは描写が細かいです。ページによってはびっしりと山肌に模様が描き込まれていたり、イラストの緻密さを実現させるための手間を惜しまなかったことが伺えます。

ちなみにこのヘーデンフス一家の絵本シリーズが生まれた背景は、作者のベッティル・アルムクヴィストが木片を集めた”原始時代の人形”を、自分の娘クリスティーナにプレゼントしたことがきっかけだそう。

そして驚くことに、この絵本は日本語訳・出版されたことがあったようです。

ビョルネン・ソベル

リッラ・カッテンの絵本、雑貨、あと雑用を担当。本を読むことよりも、大量に並んだ背表紙や古い本の雰囲気が好き。つまり、あんまり本は読みません。葛飾出身の日本人。インスタグラムは「@lillakattenpaper

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