スウェーデン語絵本の100冊読書メモ@006冊目:Killingen som kunde räkna till tio

多くのスウェーデン語絵本を扱うリッラ・カッテンが、自分たちで実際に読んだスウェーデン語絵本を紹介します。目標はとりあえず100冊です。お店では扱わない作品、または絶版の作品もあるために入手が難しい絵本も含みますがご容赦ください。

1957年発表(初出1954年)

Killingen som kunde räkna till tio10までかぞえることができた仔ヤギ

作:Alf Prøysen(アルフ・プリョイセン)/絵:Björn Berg(ビョーン・ベリ)

10までの数え方を勉強した仔ヤギ。水に映った自分の姿を見て、「イチ」と数えてみます。そして近くで草をはんでいた仔ウシに出会いました。

「なにしてるの?」
「自分を数えているんだ。キミも数えていいかな?」
「痛くないならね。」
「ぜんぜん痛くないよ。そこにじっとしていてくれれば数えるからさ。」

しかし、仔牛は自分を数えられてしまうことが怖くなってしまい逃げ出してしまいます。仔ヤギがその仔ウシを追いかけていくと、母ウシがいました。仔ウシが泣いているのを見て、事情を知ると怒りだして仔ヤギを追いかけ始めました。

ノルウェーのWikipediaによると、物語自体は1954年に他のイラストレーターによって既に発表されていたようです。その物語をベースに、スウェーデン人であるビョーン・ベリが新たにイラストと描いて絵本になったのは1957年のこと(画像の絵本は1973年印刷)。ちなみにこのノルウェー✕スウェーデンのコンビは、日本でもアニメ化された「スプーンおばさん」と同じコンビです。

登場する動物たちのセレクトがいかにもスウェーデン&ノルウェーらしい作品。ヤギが主人公なところは、日本でも有名な「三びきヤギのがらがらどん」にも通じます。ラストはきちんと仔ヤギの「10まで数える能力」が活かされてめでたしめでたしなストーリー。

ノルウェーではイラスト担当を変えて何度か版を新しくして出版したり、短編アニメーションも制作されていたり、いまでも愛され続けている作品。スウェーデンでは依然としてオリジナルのビョーン・ベリによるイラストのまま版を重ねているようです。

ビョルネン・ソベル

リッラ・カッテンの絵本、雑貨、あと雑用を担当。本を読むことよりも、大量に並んだ背表紙や古い本の雰囲気が好き。つまり、あんまり本は読みません。葛飾出身の日本人。インスタグラムは「@lillakattenpaper

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