スウェーデン語絵本の100冊読書メモ@005冊目:Nasse hittar en stol

多くのスウェーデン語絵本を扱うリッラ・カッテンが、自分たちで実際に読んだスウェーデン語絵本を紹介します。目標はとりあえず100冊です。お店では扱わない作品、または絶版の作品もあるために入手が難しい絵本も含みますがご容赦ください。

1988年発表

Nasse hittar en stolナッセとイス

作:Sven Nordqvist(スヴェン・ノードクヴィスト)

ナッセがラズベリーを探して道を歩いていると、いままで見たことがないものが落ちていました。

「あそこに落ちているヘンテコなものはなんだろう?」

とりあえず飛び出している棒の部分を掴んでみたり、そこに帽子をかけたりしてみます。そうしているうちに犬をたくさん連れたオジさんから、これが「イス」というものであることを教わります。

こうして道を行き交うさまざまなヒトからのアドバイスを得ながらこのヘンテコなものの正体が何者であるのかと、ナッセはアタマを巡らせるのです。

日本語にも翻訳されている「ペットソン&フィンダス」シリーズでおなじみのスヴェン・ノードクヴィスト(Sven Nordqvist)による作品です。

ナッセは子供でも知っているこの”ヘンテコなもの”の正体を知らないので、一言で表現するなら「無知=可笑しい」といえるでしょう。しかしこの絵本におけるナッセの行動を見て、自分のアタマに最初に浮かんだのは「固定観念」でした。

ナッセは何も知らないからこそ、この”ヘンテコなもの”に対する固定観念がなかったからこそ、棒の部分に帽子を掛けることができました。もしかするとこの”ヘンテコなもの”の正体はちょっと変わったデザイナーによってデザインされた帽子掛けだったかも知れないわけで、ナッセの方が正しかったかもしれないという可能性だってあります。

正解を知ってしまうことで行動が制限されてしまう病。それに感染してしまっていないかどうか、ときおり日常生活でナッセのことを思いながら自分のアタマが固くなっていないかどうか省みたことは少なくありません。

おもしろいのにシリーズで2作品しか発表されていない「ナッセ」シリーズ。2作品だけなのにシリーズと呼んでいいものかビミョーではありますが、最後の作品から20年以上経ったいまでも続編が出ないものかとこっそり期待しています。

ちなみにナッセは、ヒョウタンのような体型をしていますが、クマだそうです。

ビョルネン・ソベル

リッラ・カッテンの絵本、雑貨、あと雑用を担当。本を読むことよりも、大量に並んだ背表紙や古い本の雰囲気が好き。つまり、あんまり本は読みません。葛飾出身の日本人。インスタグラムは「@lillakattenpaper

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