北欧絵本@Vill du läsa – Del 3

日本でも人気の高い絵本作家、エルサ・ベスコフ(Elsa Beskow)が挿絵を手掛けた古いスウェーデン語の国語の教科書。

たくさんの絵本が日本語版でも出版されているエルサ・ベスコフの作品。絵本は書店でコーナーが作られるほど人気が高い彼女ですが、日本ではあまり知られていない彼女の作品のひとつですね。

©Elsa Beskow och Herman Siegvald(P.A.Norstedt & Söner)

カバーがあったのかもしれませんが古い本なのでさすがにカバーはありません。そのため外見はかなり地味な印象になってしまいました。

背表紙に布が貼られているのも古い書籍の特徴。現在の本のようにツルツルではなくザラザラとした手触りは、昔の本ではないと出せないレトロ感がありますね。

タイトルの「Vill du läsa?(ヴィル・ドュ・レーサ)」は直訳すると「読みたい?/勉強したい?」という感じです。スウェーデン語の「läsa」という単語は「読む」という意味と「勉強する」という意味の2つがあるので、どっちだか正確にはわかりませんが。

この教科書は3部作なのですが、この本はその3部目。

Wikipediaによると、3部目が出版されたのはおそらく1937年。日本でいうところの戦前からこの教科書が国語の授業に使われていたようです。写真の撮影に使ったこの本が印刷されたのは1950年。

本のアタマからシッポまで、挿絵はすべてエルサ・ベスコフによるもの。スウェーデン人はこんなステキな絵本のような教科書で国語の授業を受けていたのですね。

教科書3部作のうちの3部目なので少し文字は小さめ。ちなみに1部目は低学年向けということで、もっと文字が大きいです。

楽しそうな挿絵。普段のベスコフ絵本ではあまり見られないようなタッチの挿絵が多いのもベスコフファンには嬉しい一冊です。擬人化された数字たちが微笑ましい。

なぜかこのページだけ、ちょっと勉強したっぽい痕跡が。なにを思って下線を引いたのでしょうか。元の持ち主のことを想像しながらページをめくってしまいます。

スウェーデンの森を舞台にストーリーを描くことの多いベスコフが暑いところに住む動物たちを描くのは珍しい?(恐竜が登場するベスコフの作品はありますけどね。)

教材として掲載されている「おやゆび姫(Tummelisa)」のページ。おとぎ話とベスコフの挿絵はとても相性がいいですね。

実はこの教科書も何度か版を変えながら何度か出版されてきていまして、2012年あたりにこの教科書シリーズをベースにした絵本が出版されていたりします。

しかし、内容が同じといえど、新しく印刷されたバージョンとは印刷技術が違っていたり、何人もの手を渡ってきた味というものが違ってくるもの。古い本ならではのノスタルジーを感じさせる一冊、いかがでしょうか。

リッラ・カッテンの絵本、雑貨、あと雑用を担当。本を読むことよりも、大量に並んだ背表紙や古い本の雰囲気が好き。つまり、あんまり本は読みません。葛飾出身の日本人。インスタグラムは「@lillakattenpaper

コメントを残す

2024 © スウェーデン菓子「リッラ・カッテン」