スウェーデン語絵本の100冊読書メモ@001冊目:Ur en kos dagbok

多くのスウェーデン語絵本を扱うリッラ・カッテンが、自分たちで実際に読んだスウェーデン語絵本を紹介します。目標はとりあえず100冊です。お店では扱わない作品、または絶版の作品もあるために入手が難しい絵本も含みますがご容赦ください。

1973年発表

Ur en kos dagbokあるウシの日記より

作:Beppe Wolgers/絵:Olof Landström

退屈そうな毎日を牛舎で過ごしている一頭のウシ。特に名前がついているわけではないのですが、彼女がつけている日記がテーマになった絵本です。やる気のない日記の内容とオーロフ・ランドストルム(Olof Landström)の描くやる気のない絵がマッチしています。

「11月10日 起きる。ワラをはむ。2本ほどワラが残る。マイロスを見ると今日もお決まりの場所に立ちすくしている…」

冒頭はこのような代わり映えのない日常の描写が数日ほど続きますが、やがてその日記の内容は日常の世界からかけ離れていくことに。牧草を食べていたはずが、いつのまにか川の流れに身をまかせ、街に流れ着くと人間さながらの生活を楽しむようになっていきます。

はたしてこれは一匹のウシの空想なのか現実なのか。ストーリーの行間の余白がほどよくとられた物語で、読み手によってその行間をどのように埋めるのかが問われる絵本です。

ビョルネン・ソベル

リッラ・カッテンの絵本、雑貨、あと雑用を担当。本を読むことよりも、大量に並んだ背表紙や古い本の雰囲気が好き。つまり、あんまり本は読みません。葛飾出身の日本人。インスタグラムは「@lillakattenpaper

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